米Microsoftは6月30日遅く、MSN Searchの歴史において最も重要となる刷新を実施したことを明らかにした。
今回の刷新にはレイアウトの改善も含まれ、サイトの外観がよりすっきり、シンプルになり、通常の検索結果とスポンサー付き検索結果をこれまでより区別しやすくなっている。
具体的には、スポンサー付き検索結果は表示件数が減らされ、さらに色付きのボックス内に、通常の検索結果と区別するためのラベル付きで表示される。これにより、検索結果ページ上でスポンサー付き検索結果がより目立つようになっている。この新デザインのβテストの段階では、旧デザインと比べて、ユーザーがMSN Searchを利用する時間と実行する検索の件数が増えたという。
さらにMSNトップページの検索ボックスには、MSN SearchのWebインデックス、ニュース、Encartaの辞書コンテンツ、株価などから検索対象を選べるプルダウンメニューが付いている。また検索パフォーマンスと検索結果の関連性も改善された。
例えば株価はMSN Moneyから、Encartaコンテンツは「Encarta Reference Library 2004」から提供されるとMicrosoftは説明している。
Gartnerのアナリスト、アレン・ウェイナー氏は次のように語る。「主な強化はインタフェースとルック&フィールに見られる。サイトがすっきりして、よりユーザーが使いやすくなっている。これは同社が検索プランで計画している多段階のプロセスと考えなくてはならない。ユーザー体験における使い勝手の向上は、素晴らしい第一歩だ」
Microsoftは今回の刷新に続いて、音楽ファイルや道路地図などの独占的なコンテンツでMSN Searchを強化する可能性が高く、その第一歩がMSN SearchとEncartaコンテンツの結合だとウェイナー氏は語る。さらにMSN Searchのもう1つの強化策として、デスクトップ製品との連係を図り、OutlookのメッセージやPowerPointのプレゼンテーション、Excelの表などに検索情報や検索機能を統合することも考えられるという。
また今回の刷新の一環として、Microsoftは有料登録プログラムをお蔵入りにした。このプログラムは、WebサイトオーナーがMicrosoftに料金を支払って、MSN Searchのインデックスに自分のサイトを含めてもらうというもの。有料登録は人工的にインデックスに手を加え、検索結果の関連性をゆがめるとの批判を受けてきた。
Microsoftは今回のアップグレードを、1998年にMSN Searchを立ち上げて以来最大と称しているが、これは検索クエリーに「直接の答え」を提供する検索エンジンを目指す取り組みの「最初の一歩」だと同社は述べている。このアップグレードは、1億ドルを投じて独自の検索エンジン技術を開発する同社の取り組みの一環だ。
これらの改善に加えて、Microsoftは7月1日から、開発中の次世代検索エンジンをユーザーがテストできるようにする。この次世代エンジンは「来年中」に立ち上げの予定で、まだかなり初期の段階にあるという。
Microsoftによると、この次世代検索エンジンは、より直接的で「スマート」な方法でクエリーに答えるよう設計されている。現在MSN Searchを支えているバックエンド技術は、Yahoo!からライセンスを受けたものだ。
この検索エンジンを試す機会のあったForrester Researchのアナリスト、シャーリーン・リィ氏は、Microsoftは正しい方向へ進んでいると語る。「素晴らしい。インデックスは最大ではないが、検索結果はなかなかだ」
Microsoft幹部はこのところ、同社の検索分野のビジョンには、Web検索だけでなく、ユーザーのPCやほかの情報源を検索できる機能も含まれると語っている。
検索エンジン市場ではGoogleが首位を走っており、comScore Networksの調査によると、2004年2月に同社は世界で約41%のシェアを占めたという。Yahoo!が31%でそれに続き、MSNのシェアは14.1%だった。
しかし勝負は終わったわけではなく、検索エンジン市場ではユーザーの忠誠心が薄いため、Googleは首位の座をがっちりとらえているわけではないとGartnerのウェイナー氏は指摘する。
もっぱら検索サービスに集中し、MicrosoftやYahoo!のような補完的なインターネットサービスがない「Googleは、現時点では非常に幅の狭いブランドだ」と同氏。同氏は、WebメールサービスHotmailの無料会員を1億7000万人抱え、Webブラウザで圧倒的なシェアを持つMicrosoftは、自社の検索エンジンを売り込む上で大きな影響力を持っていると語っている。
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