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ビデオカメラは“写真機”になれるか(2/2 ページ)

» 2004年07月08日 05時00分 公開
[西坂真人,ITmedia]
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 今回の新製品では、従来機と同じ解像度ながら感度とノイズを改善した新開発の331万画素CCDを搭載している。静止画撮影ではこのCCDをフルに使って有効画素数305万画素・2016×1512ピクセルの画像が撮影できる。だが実は、動画撮影時には有効205万画素しかCCDを使っていない。まさに静止画のためだけに3メガピクセルCCDがあるのだ。

 ソニーが実施したユーザーアンケートによると「ビデオカメラで静止画撮影をしたいと思うか」の質問に対して85%のユーザーが静止画を撮影したいと答えたという。そして「静止画撮影に必要な画素数は?」という問いには半数以上の54%のユーザーが3メガピクセル以上必要だと回答している。

 「ビデオカメラでの静止画撮影のニーズの高まり、そして“写真”を実現するための高画素化が現在のトレンド。今回のニューモデルは、このようなユーザーの声に応えた製品」(ソニー)

デジカメの技術をビデオカメラに応用

 だが、ビデオカメラで静止画を撮影した経験のある人なら分かるだろうが、例えばCCDの画素数が同じビデオカメラとデジカメとで撮影画像を比較した場合、あきらかにビデオカメラの方が画質が劣っており、特に色再現性で大きな差が見受けられる。

 ビデオカメラで静止画の画質が悪くなる理由はさまざまあるが、もっとも大きなのが「補色フィルター」を使っている点。輝度を稼ぐために透過率の高い補色フィルターを使うのだが、補色(CMY)から原色(RGB)への変換時に十分な光量がないときなど色再現性のバランスが崩れてしまうのだ。

 ソニーでも、3メガ第1号機のDCR-PC300Kの時に原色フィルターに切り替えたが、補色フィルター一辺倒だったビデオカメラチームの技術者が原色フィルターでの絵作りに慣れていなかったため、静止画が黄色味がかったやや不自然な画質になるケースがあったり、ノイズ感のある画像になったりしていたという。

 「デジカメとビデオカメラの技術者の情報交換を昨年あたりから積極的に行うようになってきた。今回の新製品開発にあたっては、デジカメ“サイバーショット”の開発陣やマーケティングスタッフをビデオカメラチームに移籍させて静止画の画質向上を実施。画質的には昨年のデジカメ3メガ機(DSC-P8)並みに仕上げている」(ソニー)

 仮にデジカメに匹敵する静止画がビデオカメラで撮影できるようになった場合、最強の“高倍率ズームデジカメ”が誕生することになる。今回のDCR-PC350でも、光学8.5倍(動画時は10倍)ズームを搭載の3メガ機として比べると、容積比では同スペックのデジカメよりコンパクトになっている。そしてデジカメよりも大容量タイプのバッテリーを搭載したDCR-PC350は、静止画ならば数千枚撮影できるスタミナを持つ。

 「小型軽量化してメモリーカードが使えるようになり、ビデオカメラに要求される機能が格段に増えてきた。デジカメは1人1台のパーソナル用品だが、ビデオカメラは一家に1台のファミリー用品なので、より万能性が求められる。将来的にはデジカメを持ち歩かなくてもいいぐらいの画質の静止画をビデオカメラで実現したい」(ソニー)

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