プライバシー保護に向けては、企業側がRFID技術の検証作業に全力を傾けているため、米国で法規制は必要ない――。RFID推進企業2社は7月14日、米下院小委員会でそう語った(関連記事参照)。
Wal-Mart Storesは、製品のケースやパレットにRFIDを取り付ける計画を継続する考え(関連記事参照)。ただし、同社執行副社長兼最高情報責任者(CIO)のリンダ・ディルマン氏は、個々の製品の大半にタグ付けするのは約10年先のことになると米下院商業・取引・消費者保護小委員会で語った。
しかしほかの参加者は、2003年初めにはWal-Martがオクラホマの店舗で、口紅を使って製品テストを実施していると指摘。ジャン・シャコウスキー下院議員は、口紅でのテストについて消費者に十分な告知ができていたのかと疑問を投げかけた。衣服などの消費者向け商品のほかにも、パスポートなどの政府発行の身分証明書にRFIDチップを入れることでRFIDの追跡機能が悪用され、ジョージ・オーウェルが描いたような(監視社会に対する)「深刻な懸念」が生まれる恐れがあるとした。
プライバシー保護団体は小委員会で、消費者をRFID利用が招く事態から保護する法的な規制が必要だと主張した。現状でRFIDによってプライバシーをめぐる懸念が実際に起きた例はほとんどないが、RFIDの追跡範囲が現状の約3〜6メートルから広がるに連れて、企業や政府が人物の行動や購買履歴を追跡できるようになるだろうと訴えている。
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