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04年度無線LAN機器出荷台数日本一がほぼ確定 プラネックス社長が語る過去と未来(2/2 ページ)

» 2004年07月21日 16時09分 公開
[大出裕之,ITmedia]
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―― 先日の発表会でコンシューマー市場向けのプレ802.11nも検討されていると。

 実は意外にコンシューマーをやらなくてはいけなくなってきました。ニーズがありますね。はやいやつが欲しい、という問い合わせが既に多く寄せられています。Airgoなら到達距離も伸びますし、大きな家でも隅々まで45Mbpsいきますから。使っていただければ一目瞭然です。

 というわけで、コンシューマー向けを出すことは決めました。個人・SOHO向けのワイヤレスルータで、管理機能などは省きます。恐らく、2万4800円くらいでしょう。それとカードのセット。カードのほうも、Airgoはトリプルアンテナでしたが、2アンテナ2RFともう少し廉価版にして、ルータが1万4800円、カードが1万2800円、それらのセットを出そうかなと。


Yahoo! BBのおかげで出荷台数No.1

―― 会社の業績も回復されてきたようですね。

久保田 2年くらい不調が続きましたが、今期はYahoo! BB関連受注もあり、売上高がアップします。すごく手ごたえがあります。プラネックスというブランドは知名度もありますし、方向性を変えるだけで生き返る、という気がします。

 運があると思いますよ。Yahoo! BBだって、去年まで全然参加していないのですよ。ですが私の別の神様の一人に、久保田行けと、行かんとあかんぞと言われまして。

 しかしこれを取れたおかげで、一年を通じて日本における台数シェアNo.1はもう間違いないです。無線LAN製品の日本の市場規模は、昨年でおおよそ1カ月で3万〜4万台。年間で4〜50万台です。我々は既に、Yahoo! BB対応無線LANカードを35万台、それにプラスしてドングルタイプのUSB無線LANアダプタを受注しました。バッファローに、無線LAN製品で台数シェアNo.1とはもう、言わせません。

最終的には、うちはハブ屋

―― 来年で、創業10年になりますね。

久保田 私、実は飽きっぽいのですが、意外に運があってこれまで簡単に勝てちゃいました。ネットワークの商材がまだない時代に創業しました。よかったのは、当時秋葉原の売り上げが全国の8割くらいありました。うちも秋葉原にオフィスを置いてましたから蕎麦屋の出前みたいに、当時あったネットワークプロショップへ持っていっていました。

 最終的にはうちはハブ屋なので、そこでしっかりやっていきたい。スクラッチから自社で製作し、シスコと戦っていけるものをちゃんと作っていきたいと考えています。1年2年で終わる話ではないので。

 自社製のファームウェアも、ものすごくお金がかかりますが、つくり始めています。今までは自社製ファームウェアはほとんどありませんでした。根本的なカーネル部分をどこからか買って来て弊社でモディファイするということをやっており、がっちり最初からスクラッチで作るというのはありませんでした。

 さらにソフトウェアの開発者も取らないといけないなあと思っています。今すぐに芽が出る話ではないですが、。アドバンテージをどれだけ築いていくか、という研究開発がテーマです。まさに、今は第二創業期だと思います。

 ちなみにヤマハさんの強みは、自社製ファームウェアですよね。しっかりと過去からの蓄積の上で国内で作っています。あれこそ、メイドインジャパンでしょう。あれを世界に売らないのが不思議。代理権を取りたいくらいです(笑)。


 ネットワーク関連機器のベンチャーとして始まってもう9年。プラネックスコミュニケーションズは独自の地位を築いてきた。コンシューマー・SOHOを軸に、エンタープライズ市場にも本格的な進出を始めようとしている。

 今回話していただくことはできなかったが、さらにブロードバンドとそれに関係するワイヤレスソリューションについての新分野への参入も検討しているとのこと。インタビューでも非常に大胆な発言が目立った。このアグレッシブな姿勢は注目に値すると言えるだろう。

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