IT戦士とか、編集者とかいう人種は、常に睡眠不足に悩まされているものだ。運良く帰宅してベッドに入ることができても数時間後には再起動といった場合も多く、それだけに目覚まし時計の責任は重大。疲れ切って熟睡している持ち主の機嫌を損ねず、しかし確実に覚醒させなければならない。失敗すると、完全に無視されるか、寝起きで気が立った持ち主に部屋の隅へと投げ飛ばされてしまうからだ。
日本トラストテクノロジー(JTT)が発売した「USB MP3 Clock」は、パソコンが扱える音楽ファイルをアラームに設定できるユニークな目覚まし時計だ。USBケーブルで接続し、専用ソフトを使って変換・転送する仕組み。機械的なアラーム音に神経を逆撫でされることもなく、お気に入りのMP3音楽でさわやかな目覚めを迎えられる……ということで、JTTに製品を借りてみた。
USB MP3 Clockの開発元は、台湾My-Space Corp.。実は、このテの商品は数年前から秋葉原の店頭やオンラインショップで販売されているのだが(以前はシリアル接続だった)、USB MP3 Clockは独特のスタイルと低価格が特徴だ。従来製品は5000円前後の値段が付いていたと思うが、今回は直販価格で税込み2604円。これなら気軽に手を出せる。
さて、一見して“脱力系”の外観は、どうやら「UFO」をイメージしたものらしい(My-SpaceのWebサイトより)。外装はなんとなく懐かしい“トランスルーセント”タイプで、上部には謎のアンテナが2本生えている。もちろん、本当のアンテナではなく、設定した時間になると音楽に合わせて光るのだ。
目覚まし時計としての機能はごく一般的なもので、文字盤の「MP3」と背面のUSBポートさえなければ、ただの変な時計にしかみえない。電源は単三乾電池×3本。上のボタンはアラームのオン/オフ、下は再生とスヌーズボタンの兼用となっている。鳴り出したとき、スヌーズボタンを押すといったん止まり、1分後に再び鳴り出す。「あと一分……」と往生際の悪い人でも安心だ。
転送ソフトは同梱されていないため、あらかじめ説明書に記載されているURLから別途ダウンロードしておく。非常にシンプルなソフトで、インタフェースを見ればすぐに使い方が分かるだろう。
使用できる音楽ファイルは、MP3、WAV、CDA(音楽CD)、JLW、VOPの5種類だが、パソコンで扱える音源なら大抵はWAVやMP3に変換できるから、事実上制限はない。録音ソフトなどを別途用意すれば、マイク入力も利用可能だ。
使い方はいたって単純。時計とパソコンをUSBケーブルで接続し、「Record」ボタンを押すと、ファイル選択のウィンドウが開く。ここで好きな音声ファイルを選択すれば、自動的に変換&転送が行われる仕組みだ。作業が済むと確認のために音楽を再生し始め、もちろん謎のアンテナも光る。音質は大方の予想通りだが、値段相応ということで納得しておいてほしい。
1つ気を付けたいのは、録音時間が最長50秒に設定されていること。つまりイントロの長い曲を使うと、歌が始まる前に終了してしまう可能性があるから、最初のほうにサビが来る曲がお勧めだ。
曲の入れ替えは、単に上書きするだけ。My-Space Corp.のWebサイトにいけば、USB MP3 Clockで使えるさまざまな.jlw(WAV)ファイルをダウンロードできるため、いろいろ入れ替えて試してみると面白い。各種の音楽はもちろん、動物の声、楽器の音、効果音など幅広く揃えている。
個人的に気に入ったのは、穏やかな目覚めを迎えられそうな「Seawave」(波の音)と「Water01」(小川のせせらぎ)。元気に起きたいときはラテン系音楽だろうか? その時の気分に合わせて目覚めを演出できるわけで、これはなかなか洒落ているかもしれない。音楽データのなかにはクリスマスソングや「Happy Birthday」といった曲も多くあり、季節やイベントによって曲を変更できる。
一応、ツッこまれる前に書いておくと、同じことは携帯電話と着メロで(もっと簡単に)できる。ただ、パソコンと繋がる汎用性は、やはり携帯電話にはない魅力だ。たとえば寝る前に翌日の仕事リストを録音しておくとか(したくないけど)、彼女の優しい声で目覚めるとか、オリジナルの音源を用意すると使い方はかなり広がる。パソコンの音楽ファイルを使えるから、音源をメールで気軽にやり取りできるのも魅力だ。単身赴任のお父さんに、なかなか会えない子どもの声なんか、いかがでしょ?
ところが、実際に目覚まし時計として使ってみると、お気に入りの曲であっても、やっぱり起きられないときは起きられないことが分かった。むしろ、普段聞き慣れたアラーム音のほうが、自然に体が反応するのか、覚醒しやすいようだ。
というわけで、わが家のUSB MP3 Clockには、時計のアラーム音が入っていたりする……。
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