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“しゃべる地球儀”が語る、2次元コードの新しいカタチ(2/2 ページ)

» 2004年08月11日 20時01分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 タカラが「COREDO日本橋」に設置した「GARAGE CAFE」では、メニューにD-Touch技術を採用している。たとえばドリンクの写真に読み取り機を当てると、そのドリンクの説明が流れる仕組みだ(8月末までの試験サービス)。ラミネート加工されたメニューは、一見普通のメニューと全く変わらない。ちょっと前のインクジェットプリンタで印刷した写真といったイメージだろうか。

photo 「GARAGE CAFE」のメニューにもD-Touch技術が使われている。ペン型スキャナを当てると、音声端末がそのドリンクを説明してくれるほか、いくつかの質問にYES・NOで解答すると、その日の体調や気分に合ったドリンクを紹介してくれるというゲームも

 「現在は90%の濃度を持つカーボンブラックを使用していますが、パートナーの凸版印刷によると、70%程度まで薄くしても大丈夫ということです。また、実物はまだ見ていませんが、インクの種類を変えることで、網掛け状の黒い点を見えなくすることも可能だと聞いています」。

 微細な2次元コードを使うメリットは、それだけではない。たとえば、D-Touchのコードは2400dpi以上のオフセット印刷でプリントしているが、現在の一般的なプリンタや複写機ではコピーできない。つまり、著作物にも適したセキュアな技術といえるわけだ。

 さらにコード自体が単純で小さいため、スキャナ(読み取り機)の性能を低く抑えることも可能になった。これは、一回の読み取り範囲に多くのコードが入るためだ。「スキャナには2つのLEDとCMOSセンサーが内蔵されています。表面にスキャナをあてると、LEDの光でカーボン印刷されたコードが浮き上がり、4つのコードを一度に読み込みます。そのうち3つが一致すると、コードを認識します」。

 ただし、コードサイズが小さいと、そこに内包できる情報量も少なくなるのが道理だ。事実、D-Touchの2次元コードでは、4096種あるコードの中から1つを特定できるだけで、QRコードが読み込めるURLのような付加情報(文字列)を持つことはできない。たとえば「おはなし地球儀」でも、スキャナで認識したコードをもとに、マッピングされた音声データを読み取り機のROMカートリッジから呼び出しているだけ。コード自体が音声データを持っているわけではない。

photo 青いカセットが、読み取り機のROMカートリッジ
photo 地球儀の台座部分には、バルカン半島の拡大図も用意されている。その上はD-Touch対応機器共通の「コントロールパネル」。ここにタッチすることで、国名や人口など説明の内容を切り替えることができる

 しかし、これも用途次第だ。別途ストレージを用意するだけで情報量に上限はなくなるため、たとえばGAREGE CAFEのような複雑な音声案内が可能になった。仮に読み取り機がネットワークに対応すれば、カフェで選択したメニューをそのまま厨房に伝えることもできる。「実際にパートナー企業が開発を進めており、既にUSBリーダー(USB接続の読み取り機)などもサンプルができています」。

 タカラは、こうしたD-Touchテクノロジーの応用製品を拡大するため、他社に対してライセンス供与を開始した。2004年5月には、パートナー企業26社を集めてミーティングを実施。来年には各社から製品が登場する見通しだという。

 「D-Touchは、幅広い分野に応用のきく技術だと考えています。情報量は割り切り、どこまで(コードを)小さくできるか? と挑戦したところ、結果的には汚れや凹凸にも強く、読み取り性能の高い、誰にでも使える2次元コードになりました」(高橋氏)。

 すでに、子ども達が玩具として利用しているだけに、「誰にでも使える」という同氏の言葉には説得力がある。D-Touch技術が、玩具の枠を超えて使われるようになる日も近そうだ。

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