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» 2004年08月24日 10時32分 公開

VoD、普及の決め手は“ハイブリッド型”?

IPベースで、見たいときに映像を見られるビデオオンデマンドのストリーミング放送。家電の世界へ普及するには、どのようなアプローチが適しているのだろうか。

[渡邊宏,ITmedia]

 サンストリームは、DVD並みの画質を実現するストリーミング配信システム「SANSTREAM 300/400」についての説明会を開催。代表取締役の小橋康浩氏は「VoD(Video on Demand)の落としどころは“地デジ”だと考えている」と、VoDストリーミング放送のこれからの展望について言及した。

 VoDストリーミング配信システム「SANSTREAM 300/400」はコーデックにH.264/AVCを利用。「500kbpsのビットレートでDVDレベル」(同社)という高い画面クオリティを実現したほか、バッファリングスピードも高速で、レスポンスも軽快だ。

 既に松下電器産業や江崎グリコが同システムによる映像配信を行っており(松下電器江崎グリコ)、サイトではTVCMなどが視聴できる。視聴に際しては専用プレーヤーの導入が必要だが、自動的にコーデックがインストールされ、Webブラウザの別ウィンドウとして展開するため非常に手軽だ。

photo 江崎グリコのサイトでは、SANSTREAMによるCM映像を視聴できる。写真は初回視聴の際に必要なコーデックのインストール画面

 回線の帯域幅が狭い場合でも同システムは威力を発揮するとのことで、「800kbpsの帯域幅があれば、DVD並みのクオリティを持つビットレート500kbpsの映像を、スムーズに送信することができる」(同社)。また、配信サーバ側には独自の送信技術が実装されており、2時間の映画をストリーミング視聴する場合でも、開始時のバッファリングは2〜3秒で完了する。

 コンテンツ自体は暗号化された状態で送信され、サーバとクライアントの間でケルベロス認証による相互認証が行われた後、暗号が解除されて視聴可能な状態になる。現時点では実装されていないが、コピーワンスなどの著作権保護ルールを埋め込むことも可能。

 同システムはライブ放送にも対応可能で、これまでのストリーミングライブシステムに比べ、高画質かつタイムラグの少ない配信が可能だという。

photo SANSTREAM 300を利用したストリーミングライブのデモ。会場でモデルを撮影した映像を左壁に映し出し、その映像をインターネットを経由したストリーミング映像として正面に映し出している。タイムラグは2秒程度

 同システムは現在、PC向けのサービスだけを提供しているが、将来的な構想として、情報家電や携帯端末へのストリーミング配信も視野に入れている。これは、同システムが狭い送信帯域でも十分な画質での送信が可能なためだ。

 「既存放送とストリーミング放送の大きな違いはオンデマンドに対応できるかどうか。ストリーミング放送が最後に向かうところはTVだと考えている。既存放送とストリーミングによるVoDを組み合わせた“ハイブリッド放送”の提供を目指したい」(小橋氏)

photo サンストリーム 代表取締役 小橋康浩氏

 インターネットを利用した家電向けVoDサービスはすでに幾つか開始されているが、いずれもSTBなどを利用しており、導入時点での敷居は低くない。しかし、TVやHDDレコーダーなどにあらかじめVoD機能を組み込んでしまえば、まずは+αの機能としてスタートし、徐々に認知度を高めていくというアプローチを取ることができる。

 ただし、放送局側からすれば、コンテンツをVoD配信するに際して既存放送との共存を慎重に進めなければならなくなる。VoDの映像クオリティが上がれば上がるほど、既存放送との競合相手になるからだ。

 この問題について小橋氏は、「落としどころは地上デジタルだと思う。既に放送業者との話し合いは進めており、VoDを既存放送の競合相手にするのではなく、地上デジタルのデータ放送領域を利用してVoDサービスを提供するなど、共存関係になれればと思う」と考えを述べる。

 VoDサービスがどのような形で家電の世界に広まっていくのはいまのところ不明だ。しかし、STBなどを使い、VoDをメインに据えてサービスを展開するよりも、小橋氏の述べるように、これまでにある放送やサービスを補完する“ハイブリッド型”のほうが、速やかな普及が期待できるのかもしれない。

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