日立製作所、東芝、松下電器産業は8月31日、3社共同で薄型テレビ向け液晶パネルの合弁会社を設立すると発表した。千葉県茂原市にある日立ディスプレイズの茂原事業所敷地内に新会社を建設する。3社は同日、都内で記者会見を行った。
記者会見には、日立製作所から庄山悦彦社長、東芝から岡村正社長、松下電器産業から中村邦夫社長がそれぞれ出席した。
新会社では、23型以上の液晶テレビ用アモルファスTFT液晶パネルの生産ラインを構築。量産開始は2006年度第2四半期の予定で、以後段階的に生産能力を増強していき、2008年度下期に最大生産能力(32型テレビ用パネル換算で年間250万台)にする構え。設備投資額は約1100億円(日立ディスプレイズ300億〜350億円、東芝150億円、松下150億円、その他0〜50億円)になる予定。
日立製作所の庄山社長は、「テレビ市場で省スペース・大画面の薄型テレビが伸びており、なかでも液晶テレビは2006年には現在の約5倍(約1500万台)の市場規模が見込まれている。ユーザーニーズに応えるため、高画質な液晶パネルによる差別化が必須となっている。一方、液晶パネルメーカーの競争も激化し、高品質なパネルを低価格で調達することが重要課題となっていた」と、3社による合弁会社設立の背景について語る。
東芝の岡村社長も「薄型テレビは当社にとっても中核事業で、(新会社設立は)国内外のメーカーとの競争に勝ち抜くための必要かつ最適な手段。出資の目的は、液晶テレビセットメーカーとしてのメリットの追求。新会社からの液晶パネルによって、市場への液晶テレビの安定した供給が可能となる」と、拡大する市場に向けて液晶パネルを安定調達できるメリットを強調する。
以前は日本のお家芸だったテレビ向け液晶パネルの市場も、韓国を筆頭にアジア各国の液晶メーカーの台頭で市場勢力図も様変わりし、現在は熾烈なコスト競争が展開されている。
松下の中村社長は「オリンピックの視聴率の高さを見て、テレビは人々に大きな感動を与えるモノとあらためて実感した。そのテレビは、ハイビジョン/大画面/高音質化が進み、薄型大画面のニーズが高まっている。、液晶テレビでは、日本製のキーデバイスが占める割合が80%を超えるモノ作りを目指していきたい。それが日本メーカーの大きな使命。コストも大事だが、技術や画質も重要。垂直統合型の液晶開発をしていき、モノ作り日本の復活を目指す」と語り、今後大きな需要が見込まれる大画面薄型テレビでの“メイド・イン・ジャパン”復権をアピールする。
新会社による液晶テレビの大きな武器となるのが、日立ディスプレイズが世界に先駆けて開発してきたTFT液晶表示方式「IPS」だ。
PC用ディスプレイで普及しているTN方式は見る方向によって色合いや階調が変化してしまうため、テレビ向けのTFT液晶表示方式は、現在IPSとVAの2つが主力となっている。
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