Blu-ray Discのアプリケーション規格について語ってくれたのは、松下電器産業AVCネットワーク社ネットワーク事業グループ技術戦略担当参事の小塚雅之氏だ。
「“ソフトがなければハードは普及しない”とよくいわれるが、“ハードがなければソフトは再生できない”ということを訴えたい。現在BDAには73社が加盟していることからも分かるように、Blu-ray Discはあらゆる環境で安心して使ってもらえる規格。そしてBD-ROMは、MPEG-2/MPEG-4 AVC HP/VC-1の3つという3つの映像圧縮技術をサポートしている。特にMPEG-4 AVC HPでは、8Mbpsでもハリウッドスタジオ関係者も納得する高画質。そして著作権保護技術も強固なものを採用してる」
またBD-ROMでは、DVDナビゲーションをベースにしてHD映画再生/ポップアップメニュー/3つのコーデックなどに対応した「基本プロファイル」と、Javaプログラム環境やインターネット接続機能を備えた「拡張プロファイル」という2つのプロファイルが用意されている。
小塚氏は2つのプロファイルを活用したBD-ROMの具体例を紹介しながら「Blu-ray Discの豊富なアプリケーション機能で、コンテンツプロバイダーの創造性を刺激していき、いろいろなタイトルを作っていってもらいたい」と締めくくった。
「Blu-ray Discの疑問大質問」と題されたパネルディスクカッションの後半は、AV評論家の麻倉氏がメーカーのキーマン4人にBlu-ray Discに関する鋭い質問を投げかけた。
麻倉氏:「2層にしたとき、Blu-ray DiscはHD DVDに比べてメディアコストが高いのでは?」
TDK・飯崎氏:「今は高いし歩留まりも悪い。だが、高度な生産技術も確立してしまえば劇的に安くなるのはCDやDVDなど過去の実績が証明している」
ソニー・小川氏:「HD DVDと比較しても数多く作ったときはコストの差は僅か。CD-Rも最初は3000円だった」
麻倉氏:「確かにVHSテープも最初は6000円だったですね」
麻倉氏:「DVDカムコーダのようにビデオカメラで使う8センチメディアの展開は?」
シャープ・高橋氏:「8センチメディアは検討している。容量は8センチで1層/8Gバイトとなり、新コーデックなら2時間ぐらいまで録画できるようになる」
ソニー・小川氏:「Blu-ray DiscならDVD-RWのようなファイナライズ処理もいらない。記録密度が高いので手ブレにも強い。2層メディアも開発中」
麻倉氏:「MPEG-4は粒子ノイズがなくなってしまうので、ディテール表現に疑問があるのだが」
松下・小塚氏:「最新のMPEG-4 AVC HPでは8Mbpsでも粒子ノイズはしっかり出ているので大丈夫」
麻倉氏:「コンテンツの対応が心配。現状でBD-ROMを支持しているスタジオはどこ?」
松下・小塚氏:「大手7社のうち、DVDタイトル出荷数ではBlu-ray Discを支持するソニー/MGM/FOXで46.1%を占めている。映画の場合は再生環境が重要なので、ディスクコストよりもインストールベースの数の多さがカギとなってくる」
麻倉氏:「コピープロテクションの問題は?」
松下・小塚氏:「ただ単にコピーコントロールするという概念ではなく、安全なDRM環境がある場合はコピーができるなど、使いやすいDRMを選択していきたい」
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