ITmedia NEWS >

TW500に迫るコントラスト感と色バランス――プロジェクター「TW200H」レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style(1/4 ページ)

» 2004年10月08日 16時37分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 昨年、コンシューマ向けに立ち上げたドリーミオブランドの中堅機として発売されたセイコーエプソンの「EMP-TW200」は、低価格ながらD4世代720p対応パネルを採用し、幅広いレンズシフトによる高い設置性、明るさ調整範囲の広さ、電動ズームおよび電動フォーカス、USB接続によるPCでの色調整パラメータ管理などで人気を博した。ニュートラルなグレートーンとバランス良い発色も魅力だった。

 今年9月に発売された「EMP-TW200H」は、型番からもわかるとおりその改良型で、デザイン/入力端子/レンズシフト機能/リモコンなど基本的な部分は全く同じだ。しかし、その画質は大幅にリファインされており、上位機種にも迫る画質を実現。実際、使われている液晶パネルは上位機種と同じマイクロレンズアレイを搭載したものだという。その仕上がりはTW300を名乗っても良いのでは? とまで思わせる。

photo ホームシアター向けプロジェクター「EMP-TW200H」

特徴は「明るさと設置性の良さ」

 まずは大まかなディテールを紹介しておこう。昨年モデルと重複するところが多いが、それらも含めて本機の特徴として以下に挙げる。

 TW200Hの魅力はなんといっても、その明るいランプである。このクラスでは最高となる200ワット出力のUHPランプを使用。もっとも明るいダイナミックモードでは、最高1500ルーメンの明るさを誇る。

photo 【風景】最高1500ルーメンの明るさを生かしたダイナミックモード。明るさ最優先のモードで画質は悪い。(元画像はこちらをクリック)
photo 【人物】ダイナミックモード。(元画像はこちらをクリック)
photo 【クルマ】ダイナミックモード。(元画像はこちらをクリック)

 ダイナミックモードは明るさ優先でギラギラとして、ハイライトが飛びがちな映像になるが、この明るさをほぼキープしたまま色調を整えたリビングモードは、明るめのシーンが多いテレビ番組などであれば問題なく視聴できるレベルだ。それでいて、暗めの照明がオンになっている状態でも十分に楽しめるだけの明るさがある。これだけの明るさで色調も整っている製品はこのクラスにはない。家族や友人と、食べ物をつまみながらワイワイとでスポーツ番組を見る、といった用途には最適な製品だろう。

photo 【風景】リビングモード。映画視聴には向かないものの、テレビ放送程度ならば違和感なく見れるだろう。なお、本機ではリビングモードの色温度と明るさを基準に、EOS20Dの色温度と露出を決め、固定したまま他のモードを撮影している。明るさや色温度の相対差も見て欲しい。ただし、色温度に関しては各モードとも"中"でほぼ同じだ。。(元画像はこちらをクリック)
photo 【人物】リビングモード。(元画像はこちらをクリック)
photo 【クルマ】リビングモード。(元画像はこちらをクリック)

 また、ランプ出力の高さを利用し、エプソンシネマフィルタという光学フィルターを用いることで、色純度の高さとニュートラルなグレートーンを実現している点も他社と異なるポイントだ。

 UHPランプからの光に対し、あらかじめスペクトラムのバランスを整える光学フィルタを通してから光学回路に光を入れているのだ。これにより、ランプが出す光のスペクトラムが持つ癖、特にUHPの緑が強くなる傾向を抑え込み、さらに緑色の色純度を高める効果も持つ。ランプが明るいからこそ、こうしたフィルターを用いることができる。

 エプソンシネマフィルタにはもうひとつ良いところがある。それは階調情報を失いにくいことだ。通常、上記のようなランプ光の癖は、デジタル領域の映像処理回路の調整で抑え込んでいる。このため、量子化ノイズが発生し階調の豊かさが失われやすい。TW200Hは内部8ビット処理で、他社製プロジェクターは10ビットへと移行しているが、それでも階調の滑らかさでひけを取らない。

 こうしたプリフィルターは、ごく一部の高額モデルには採用例があるが、50万円以下のクラスで採用しているのはエプソンだけだ。エプソンはあまりこの点を強くアピールしていないが、もっと高く評価されても良い特徴である。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.