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» 2004年10月14日 16時53分 公開

特集:私的複製はどこへいく?:対談 小寺信良×津田大介(1)――「CCCDはみんながやめたいと思っていた」 (2/3)

[渡邊宏,ITmedia]

津田:自然な流れだと思いますよ。ああいうものがあれば、規制する側もブレーキをかけざるを得ない状況になりますから。小寺さんが以前書かれていたと思いますが、日本の消費者はあまり発言しないで、クールに「買わない」ということを選択してしまいますよね。

 だから、業界側もどこでブレーキをかけたらいいのか、分からないんじゃないかと思うんです。

 「まだいいのかな?」「まだいいのかな?」とチキンレースになって、気が付いたらガケを越えちゃっている。そういうものへのブレーキとして、インターネットが機能することが大事だと思います。

 輸入権とかCCCDの問題というのは、ここ1〜2年の話ですが、それが示唆する物は非常に大きいという印象を受けますね。

アナログ波の停止まであと6年ぐらいしかないでしょ?

――音楽の場合、「CD」というメディアがあまりにも定着してしまったために、今の状況が作り出されている側面があると思います。映像の場合、DVDというメディアの普及がめざましいですが、これはどうご覧になっているのでしょう?

小寺:DVDの普及した理由は、コンテンツの価格だと思うんです。今は2500円ほどで売られている物が多いですが、そうすると(あらかたの)音楽CDよりも安いんですよ。制作費を考えると、映画1本がこの値段というのはとてもお得。「コピーするのも面倒だし、それならば買ってしまえばいいよね」という感覚が消費者にある。価格の勝利だと思うんです。

津田:音楽は何度も聴く、けれど、小説や映画はそうそう何度もリピートするものではないという、文化的特質に起因する面もあると思いますね。例えば映画や小説をリアルタイムで楽しみながら車は運転できませんが、音楽ならそれができる。「ながら聴き」がしやすいメディアという部分は大きい。音楽と映像を比べると、明らかに繰り返して楽しむ頻度に違いがあるんですよ。繰り返して楽しむ頻度が高いものかどうかで、保存(コピー)したいかどうかの欲求具合は違うと思います。

小寺:今、一番問題なのは、むしろ放送でしょう。いま、各社はDVD/HDDレコーダーを一生懸命作っていて、トレンドはマルチチューナーですよね。2台のチューナーでガンガン録画して、DVDに残しましょうって。でも、あんなの、フルデジタルになったら一撃で終わるんです(笑)。

 アナログ波の停止まであと6年ぐらいしかないでしょ? あと6年しか食えない技術にみんな力を入れていて、その部分だけものすごい勢いで進化してる。そんなアホなことがあるのかと(笑)。“アナログ波停止”に反対するムーブメントというものがあってもいいんじゃないですか。

――今すぐ、デジタル放送に移行するメリットは、確かにあまり大きくありませんね。

小寺:HDを見たいならばデジタル放送になるんでしょうけれど、これから盛り上がって欲しいのはポータブル環境です。このの間発表された「CLIE」みたいに動画を持ち出しましょうという流れがあってもいいし、携帯で見るという方法もあると思います。

 そうした利用法を考えるならば、HDは絶対の条件じゃないですよ。そもそも、ポータブル機器にHD映像は入りませんし。HDを見るなら自宅、それ以外はアナログという選択肢があってもいいと思うんです。

津田:(放送に関して)小寺さんに伺いたいのは、“コピーワンスってどうよ?”という一点に尽きる気がするんですけれど……

小寺:米国の方がそうした物への考え方はゆるくて、メディア間のコピーはOK、インターネットへ再配信するのはアウトという線引きになっています。僕はそれが妥当な線じゃないかと思うんです。米国のコピー防止への基本的な考え方というのはすごく現実的で、「経済的に割が合わなければやらない」ということです。

 ところが日本はそうじゃなくて、技術的に可能ならばとりあえず禁止しておけっていう雰囲気がある。悪いことをするヤツは経済的なメリットがあるから悪いことをするわけで、儲かるかどうかのコストバランスを考えないと、禁止しても意味がないでしょう。そのあたりは業界でもっと考えていかないと。

津田:DVDレコーダーが普及してきましたが、まだ、“やっと分かりやすくなった”という状況なんですよ。お年を召した方、それこそダイエーの王監督が最近「DVDレコーダーで録画することにハマっている」と発言するような時代になって、多くの人がDVDやHDDに録画することがやっと簡単にできるようになったと思ったら、もう世の中はデジタル放送にシフトしてしまうわけです。そこにきてコピーワンスってなんだよって感じですよ。

――コンテンツの権利者が言うことは理解できますが、ユーザーの視点からすれば、やはり不自由な感があることは否めません

津田:そりゃあ、不便ですよ。

小寺:“できること”としては、退化ですね。音楽の時もそうだったんですけれど、いろんなことを禁止していくと、そのメディアは死ぬんですよ。DATがまさにそうで、デジタル録音不可となったとたんに息の根を止められちゃいました。

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