シャープのカラー液晶電子辞書に新モデルが登場した。同社としては3代目のカラー液晶モデル「PW-C8000」である。カラー液晶化は、写真や図表のカラー表示を可能とし、百科事典などのコンテンツの価値を増したが、新製品はその次のステップとしてさらなるマルチメディア機能が搭載された。新機能でパワーアップした本製品の可能性についてレビューしてみたい。
PW-C8000は、5インチのTFTカラー液晶を中心にSDメモリーカードに収納された写真の閲覧機能、音声機能、TV出力といったマルチメディア機能を搭載し、SDメモリーカードによる辞書の拡張機能も搭載している。
カラー液晶を搭載することによって、百科事典などグラフィカルな要素を含むコンテンツの表示強化を図ったのがこれまでのカラー電子辞書とすれば、本製品はさらに機能を充実させ、カラー電子辞書の可能性を模索した製品、というように映る。
外観から見ていこう。ボディはABS樹脂製で、圧迫やねじれ方向に対する強度は金属外板を採用した製品と比べ少々心もとない印象を受けるが、液晶の周囲には金属製のプレートで補強が行われている。デザイン的には全体的に丸みを帯びており、電子辞書の無骨なイメージを払拭した家電的で誰にも利用できそうなデザインに仕上がっている。キーボード下部にはステレオスピーカーも備えており、収納されているTOEIC学習辞書ではネイティブの発音を確認することができる。
本体サイズは147.2(幅)×111.5(奥行き)×17.1〜21.6(厚さ ミリ)、重さは約304グラム(充電池・保護カード含む)であり、電子辞書としては一般的だ。本体側面にアールを持たせたデザインが、両手で持ちながら操作するスタイルでもよく馴染む。裏面には前2つのみだがゴム足も装着されており、卓上で利用する際の滑り止めになっている。
インタフェース類は本体右側面にはACアダプタ、音声出力、映像出力コネクタがあり、左側面にはSDメモリーカードスロットと音声調節つまみが用意されている。音声出力機能付きモデルでもせいぜい音声出力端子とボリューム、辞書拡張が可能なモデルでもカードスロット程度であるため、本製品のインタフェースは電子辞書としては異例の多さだ。
インタフェース増大のひとつの要因は音声機能や新機能のTV出力機能であり、もうひとつの要因は専用充電池の採用だ。充電池の採用によって、カラー液晶を搭載した従来モデル「PW-C6000」の約2倍となる約20時間の動作が可能だ。また、これは他の電子辞書でも採用されていいと思うが、ディスプレイには電池残量を示すアイコンも表示される。
乾電池を用いる電子辞書は出先での電池交換も可能であるため、不意の電池切れにも対処できる。しかし、本製品はそのあたりをすっぱり切り捨てたことになる。そう考えると、本製品は家庭に常備しておくタイプの利用がマッチしているようだ。
キーボードは、携帯電話のようなストロークの浅いタイプのタッチ。キーというよりボタンと言ったほうが似合う。筆者としては、頻繁に利用するのであればもう少し堅めのタッチの方が好ましく思う。レイアウトは、最上部左上に電源、右上にカードボタンという丸く大きなボタン、それに挟まれるように少し小ぶりの各種辞書ボタン、メニューボタンがまとめられ、その下に0〜9、後退、クリアのボタンが配置される。中段のJIS準拠タイプライターキー配列のアルファベットボタンは、辞書ボタンなどの約2倍のサイズを確保している。最下段には戻る、検索/決定ボタンおよび十字ボタンなどの操作系ボタンが配置されている。
大きさと色分けで機能が分かれているため、操作に戸惑いは少ないと思われるが、機能ボタン(特にカラー化で重要度を増した図/解説ボタン)が最上段にあり、最下段の操作系ボタンとの間が離れているところは少々気がかりだ。
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