前回の「おまかせ・まる録」「追跡録画」に続き、今回は録画から再生、編集、ダビングといった基本機能をチェックしていきたい。従来の「スゴ録」は、これらの点に関しても中途半端な印象があっただけに、気になる人も多いはずだ。
ただその前に、もう1つの“おまかせ”機能を取りあげておこう。
DVDレコーダーでは、自動CMカット機能を実現した製品も多い。他社製品のいくつかは、CMがステレオ放送であることを利用して、地上波放送の音声信号切り換えを検出、自動的にチャプター設定する仕組みだ。この場合、確実性は高いものの、番組本編がモノラルまたは2カ国語放送である場合にしか使えない。最近は歌番組だけでなくドラマやバラエティ番組でもステレオ放送が増えており、利用機会が限定されつつあるのも事実だ。
こうした点を考慮してか、ソニーの「おまかせチャプター機能」は少し違う方法を採用している。音声信号切り換え時だけでなく、映像や音声の切り替わりを検出し、自動的にチャプター設定するのだ。これなら、本編がステレオ放送でも機能するため、ソニーではステレオ番組のCMカットにも十分活用できる精度だとしている。
2004年秋モデルのスゴ録には、ソニーの新開発MPEGエンコード/デコードチップ「CXD4702GB」が採用されたが、このチップは「特徴点検出機能」と呼ばれる機能を持っている。音声や映像の変化から、タイトル画面やシーンチェンジを検出するもので、おまかせチャプター機能もこの機能を利用したものだ。
似たような機能は、PC向けのテレビチューナーカードなどで古くから実現されており、実は筆者もこの機能を備えるテレビチューナーカードを所有している。しかし、本編とCMの境目などほとんど検出してくれず、はっきりいってCMカットには何の役にも立っていない。問題はどれだけ実用性があるかということだろう。
そこで今回は、意地悪くステレオ放送のドラマを2本録画し、おまかせチャプターを使ってみた。純然たるCMカット機能ではないため、本編中にチャプター設定されることはある。それはともかく、本編とCMの境目をきちんと検出できるのだろうか?
結果は悪くなかった。概ね1秒以下の誤差があるものの、2番組とも、本編とCMの境目には全てチャプターが設定されていた。もちろん、本編中の場面転換シーンなどにもいくつかチャプターが登録されていたが、これは機能としておかしい動作ではない。本編とCMの切り換え部分を検出するという意味では、かなり高い精度を持っているといえそうだ。
また、音声信号切り替え検出タイプの自動チャプター機能を持つ別のHDD+DVDレコーダーで同じ番組を録画してみたところ、こちらは1つもチャプターが設定されていなかった。つまり、本編とCMの間では一切音声信号の切り換えがなかったわけだ。おまかせチャプターは、きちんと本編とCMの境目を映像と音声の変化だけで検出したことになる。
「おまかせチャプター」と「チャプター選択消去」を組み合わせたCMカット機能の使い勝手は悪くない。チャプター選択消去では一覧から不要な、つまりCM部分のチャプターを選択していくだけ。フォーカスしたチャプターの先頭からプレビュー再生も行われるし、全体の中でもチャプター位置もバーの中に表示されるため、不自然な位置にあるチャプターを把握するのも容易だ。精度的には、“おおまか”の範囲は超えないが、ステレオ放送でも気軽にCMカットできる点は嬉しい。
また、単にCMと飛ばし見したいなら、プレイリストが利用できる。つまり、本編部分のチャプターだけをプレイリストに登録しておけば良いわけで、ここでも本編とCMの切り換え部分をきちんと検出してくれる「おまかせチャプター」が生きる。
より高精度なカット編集を行う場合は、A-B消去(部分消去)を利用する。この場合でもチャプター単位で移動できるので、「おまかせチャプター」の位置を元に、より正確な位置で部分消去を行えば済む。またタイトル分割機能も備え、高速ダビング時でも活用できる。DVD1枚にダビングできない番組を分割し、複数枚に分けて高速ダビングすることが可能だ。
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