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シアター感覚をカジュアルに――エプソン「LIVINGSTATION」レビュー(2/2 ページ)

» 2004年11月16日 11時26分 公開
[ITmedia]
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シアター感覚とカジュアルな視聴スタイルのバランスの妙

 一般的に、フロントプロジェクターを導入している家庭でも、映像出力をそれのみには委ねてはいないものだ。シアター専用ルームを用意しているならともかく、リビングにホームシアターを構築する際には、視聴条件によって使い分けられるよう、たいていの場合は補助的に直視型テレビも設置する。そのため、大型のテレビ収納ラックには、必要に応じてテレビの前にプロジェクター用スクリーンを下ろせる機構を持っているものも多い。

 視聴条件とは、つまり、普通のテレビ番組の視聴や、部屋を暗くせずに利用したい場合、あるいは、子供も一緒に観たいといった事柄だ。フロントプロジェクターでも、高輝度タイプが増えてきており、部屋を暗くする必要性は少なくなっているものの、投影という仕組み上、その“経路”を遮ってはいけない。この点で運用性が低いため、気軽に観る場合は直視型テレビを利用したいという要求が生まれてくるわけだ。

 LIVINGSTATIONが「実際の運用を鑑みれば、非常に巧妙にバランスが取れた位置に立っている」と思わせるのは、ズバリここだ。

 一般にハイビジョン対応テレビの最適視聴距離は、画面の高さの3倍とされている。57V型「ELS-57P1」の場合、画面寸法の高さは71センチなので、最適視聴距離は2メートル13センチ。一般的なリビングに当てはめたときに、ごく自然に収まる距離といえないだろうか。

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 つまり、最小でも6畳間の長辺を使えば十分に鑑賞可能で、正方の24畳間などであれば部屋の中央あたりに置いたソファから眺められる(LIVINGSTATIONのサイトのリビングシミュレータを参考にするといい)。

 しかも、プロジェクターとは異なり、その“2メートル13センチ”に気を使ったり、無駄に確保するといった必要はない。それに映画を観るにも、テレビ番組を観るにも、適度な画面サイズなため、すべてを1台でこなせるのだ。また、投影するという構造上、部屋は暗くしたほうが、より美しい映像は得られるが、やや明るめの部屋でも十分に鑑賞できるレベルに仕上がっている。

 音に関しても、意外に本格的な内容を聴かせてくれる。本体内に空洞部分が多いせいか、しっかりとした音響だ。これは本体前部のサランネットを外してみて納得。2ウェイバスレス方式スピーカーを構成しているのは、120ミリ・フルレンジと20ミリ・ツイーターというユニットの組み合わせだ。左右のチャンネルで間隔が十分にとれるため、臨場感も際立っている。

 もちろん、本格的なサラウンド再生を目指すなら、デジタルサラウンドシステムを別途導入すればよいが、このレベルの音質であれば、リアとサブウーファーのみを足すなど、内蔵スピーカーを生かした手段も探りたいものだ。

 また、リビングの主役という座にふさわしい機能も備えている。画面の下には、コンパクトフラッシュ、スマートメディア、メモリースティック、SDメモリカード/マルチメディアカードのスロットがずらりと並ぶ。つまり、ほかの機器を追加することなく、デジタルカメラで撮影した映像を大画面で楽しめる。

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 PCユーザーであればおなじみの、サムネイル一覧から目的の写真を選択するという流れで、デジタルアルバム鑑賞が可能だ。また、これらの画像や、テレビからキャプチャした静止画を印刷するための昇華型フルカラープリンタまで装備している。

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 シアター感覚が味わえるほどの画面サイズを実現しつつ、カジュアルな視聴スタイルでかまわない。そんな懐の深さが、LIVINGSTATIONには隠されている。「プロジェクションテレビなんて聞いたことない」。そんな普通のユーザーこそ、興味を持ってほしい製品であることは間違いない。

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