家庭向けプロジェクターの表示デバイスを透過型液晶からDLPへと舵を切って久しいシャープが、720p解像度のHD2+パネルを採用しながら実売約40万円という製品を出してきた。
1024×576ピクセル採用のXV-Z200の後継として11月に登場した「XV-Z2000」は、他社が高級路線を張るハイビジョン対応DLP機を低価格化することで、透過型液晶プロジェクターからのステップアップを望むユーザー層を狙っているようだ。
XV-Z2000が採用するHD2+というDMDチップは、1280×720ピクセルの解像度を持つHDパネルの3世代目にあたる。DLPのHDパネルは代々、およそ90万〜120万円程度のプロジェクターに採用されてきたもの。現在、最新のHDパネルは4世代目のHD2++(HD2+と基本スペックは同じだがDarkChip3という技術を採用しコントラスト比を向上させている)へと進化している。
HD2++はヤマハが採用し、マランツも搭載機を来年2月に発売する予定だが、やはりいずれも100万円オーバーの製品で価格レンジは従来機種と同じレベルに維持されている。シャープも従来は最新のHDパネル採用機をいち早く投入してきたが(XV-Z9000/Z10000/Z11000)、HD2++に関しては採用機の開発は行われていないという。
しかしハイビジョンやホームシアターの一般化が進む中、100万円前後の高級路線にとどまるばかりでは市場は広がらない。価格が高止まりしている理由は、同タイプの素子が存在しないことでDMDチップが低価格化しないところにあり、メーカー側の努力だけではどうしようもない部分もある。
そこでシャープは、従来モデルを踏襲して同価格帯に最新DMD採用機種を投入するのではなく、新製品に1世代前のHD2+を採用。さらにデータプロジェクターと筐体などのメカニカル部分のコンポーネントを共用化、制御基板などは従来機Z200のものを流用するなどの工夫をすることで、一気に実売40万円を切るレベルにまで価格を引き下げてきた。
液晶のイメージが強いシャープだが、プロジェクターに関しては今後もDLPに注力する事を公言しており、低価格の液晶プロジェクターに押され気味の現状を打破するため、価格レンジを一気に半分にしてきたことは評価したい。DLPらしい解像感と立体感、それにバランスの良く透明感のある色再現をこの価格帯で得られる。
その代わり、制御基板にZ200のものを利用しているため、100万円クラスのHD2+に比べて弱い部分も存在する。本機で使われているのはHD2+搭載機に採用されていたNDフィルタ付きグリーンセグメント(濃緑セグメント)を持つカラーホイールではなく、一般的なRGBの6セグメント。回転速度は2.5倍速で、トータル5倍速のカラーフィルタ切り替え速度となる(Z200と同等)。
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