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話題のスクリーン、キクチ「ホワイトマットアドバンス」とは?インタビュー(1/3 ページ)

» 2004年12月21日 00時00分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 発売前から大きな注目を浴び、今年11月の発売からわずか1カ月でAV専門誌などの各賞を総なめにしているスクリーンが、国内大手スクリーン専業メーカー・キクチ科学研究所の「ホワイトマットアドバンス」だ。

 専門ショップなどが開催する年末商談会などで各メーカーのプロジェクターを横並び比較するシュートアウトコーナーでも、“リファレンススクリーン”としてホワイトマットアドバンスが相次いで採用されている。

 キクチが長年に渡って開発してきた新素材を使ったホワイトマットアドバンスについて、同社第一営業部SC営業課係長の山下宏司氏に話を聞いた。


――普及価格のプロジェクターが台頭し、ホームシアターが幅広いユーザーに注目されてきた近年は、求められるスクリーンも変わってきているようですが、最近のスクリーンの傾向を教えてください。

 「以前はビーズ系がスクリーン素材の主流でしたが、近年は、マット系が大きな比率を占めるようになってきました。マットが増えてきた理由の一つは、プロジェクターの性能アップ。6〜7年ぐらい前はプロジェクターのパワーが足りなかったので、ビーズ素材を使ってより明るく見せる方法をとっていたのですが、近年のプロジェクターはパワーが増えてきて、スクリーン側で明るさを補う必要がなくなってきた。そこでマット系を組み合わせるケースが増えてきたのです」

――ただし、プロジェクターが明るくなったからといって、すべての環境でマット系がいいとは限らないですよね。

 「マット系は拡散性のスクリーンなので、迷光のような“邪魔な光”も拡散してしまい、コントラストのない、パワーのない映像になってしまいます。迷光の影響を受けにくいということで、ビーズ系を選択するユーザーも多いですね。いずれにしても、視聴環境に応じてマット/ビーズを使い分ける必要があることを認識しなければならないのです」

photo ビーズ系スクリーンの特徴
photo マット系スクリーンの特徴

 「だが当社も含めて、スクリーン新製品に使われている素材がマット系中心になっていることや、専門誌などでも新製品のマット系への評価が高いことから、ユーザーもマット系に目が行きがち。だが本来は環境に応じて使い分けなくてはならない。マット系が向かない視聴環境なのにマットスクリーンを選んでしまっているケースもあるでしょう」

――ただしマット系の中でも、キクチの「グレイマットアドバンス」など特殊な表面処理を施したスクリーンは迷光に強く作られているので、余計にユーザーが迷ってしまうのかもしれないですね。

ホワイトマット系のイメージを払拭する“アドバンス”

――今回の新製品「ホワイトマットアドバンス」は、従来からあったホワイトマット系を進化させたものですよね。もともとホワイトマット系は、どういった視聴環境に適しているのでしょうか。

 「ホワイトマットを選ぶケースは“理解して買っている人”と“値段で選んでいる人”の2通りあります。前者は、スクリーンのことをよく分かっているユーザー。ホワイトマットというのは映像のナチュラルさが売りで、自然な発色を再現しやすい。完全遮光の専用シアタールームでは、映像の質感や階調性を含めて、プロジェクターの持つ性能を引き出しやすいのがホワイトマットなのです。ただし値段も安いので、後者のように“余った予算で購入する安いスクリーン”というケースも最近は多いようです」

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