映像を使ったインタラクティブ作品が3つあったのだけど、そのうちのひとつ。岩沢駿さんの作品。
大きなスクリーンに、青バックに白い線画で描かれた「くらげ」が多数浮遊している。なんだか1970年代のテレビゲームのようなチープなクラゲだ。これを見ようと人間がスクリーンの前に立つと、その影がスクリーンに落ちる。すると、その影目指してクラゲが一斉におそってくるのだ。
これだけ。これだけなんだけど、これがどきどきする。おそってるのはチープなCGのくらげだし、おそわれてんのだって影だ。ところが、どういうわけか反射的に逃げてしまうのだ。なんだかとってもくやしい。クラゲがチープだから余計悔しい。ああ、なるほど狙ってこういうデザインなんだってのがわかる。
逃げないで我慢していると、くらげがあつまってきて影をさしまくるのだけど、これもなんだかむずむずする。こんなもんで、人間はむずむずしちゃうんだなあ。
筧(かけひ)康明さんの作品。夏にお台場で開催されたデジスタ展にも出展されていたので、見た人がいるかもしれない。でも、そのときよりバージョンアップしてきれいになっていた。
表面がディスプレイになっている正方形のテーブルがある。ディスプレイにはエアーホッケーのコートのこっち側半分が表示されている。
テーブルの向う側には鏡があって、わたし自身と背景とテーブルとそしてゲーム画面がうつっている。
パッドを手に持って、ディスプレイに表示された玉を打つ。すると玉はするすると向こうに行って.....鏡をすり抜けてそのままあっちがわの世界に行ってしまうのだ。そこで、わたしは鏡にうつった自分を操作して、その玉を打ち返す。すると、玉は鏡の面をすり抜けてこっちに帰って来る。今度はいつもの自分が打ち返す。
というわけで、“自分 vs 鏡”の自分でエアーホッケーができるっていうのが、through the looking glassだ。やっているうちに自分がどれだかよくわかんなくなってくるってのがいい。
これだけでもうおもしろいんだけど、やっぱり、これはどうなっているんだって気持ちになる。鏡を見ても、他の全ては普通に反射しているのに、テーブルのディスプレイだけが変なのだ。半透明ミラーなのかとおもって、鏡の裏に回っても何にもない。
仕掛はディスプレイだった。このディスプレイ、見る方向によって全く違う画像を表示できるというものなのだ。こっちから見たときと、鏡の側から見たときとで違う画像を表示してたというわけ。その気になればもっと全然違う画像だって出せるのに、そこをわざわざよく似ているけど違うエアーホッケー画面にしたってのが素敵だ。
筧さんによれば「見た人がみんな『これ作った人、ともだちいないでしょう』っていうんです。どうかなあ」だそうだ。でも、いいよねえ、これだけのもの作れれば。
蓑毛雄吾さんの作品。以前「MR-Expo」で見た「Textured Shadow」のバージョンアップ版。原理はそのときと全く変わっていないのだけど、白いところが本当によく消えるようになった。RGB各255階調について、よく消える(光学的に補色になる)値のテーブルを持つようにしたのだ。
また、処理も速くなったそうで、動画の処理もできるようになった(今回のデモでは用意されてなかったのは残念。ただ、自然画の場合2つ目の影がネガになっちゃうのが、ちょっときもちわるいかも)。
これだけなんだけど、かなり快調。MR-Expoのときは、「こういうのが好きな人は大喜びだけど...」って感じだったのだけど、今度のは、だれでもうれしいものになってる。そろそろ街で見られるようになるといいなあ。
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