ITmedia NEWS >

“アートするテクノロジー”を見てきたのだ体感型の最先端情報技術展(2/3 ページ)

» 2004年12月27日 08時24分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

Humaboid “Blade”

photo

 未完成のヒューマノイドロボット。まだ胴体と左腕と顔しかないのだけど、これだけでも特徴はしっかり見られる。

 このロボットは、人間の骨格や関節の作りを研究して、それを再現しようとしているのだ。今できている範囲でいうと肩甲骨だ(the shoulder blade)。人間の腕は、胴体にしっかり止まっているのではなく、肩甲骨経由で筋肉でぶら下げてあるという構造になっている(肩が凝るわけだ)。

photo

 Bladeもそういう構造になっているのだ。この結果、肩関節がより自由に、人間らしい動きをするようになったのだそうだ。

photo

 モータは胴体のなかに全て置かれ、ワイヤー(つまり腱だ)で、関節を引っ張るようになっている。人体を摸すならば、モータは腕の中におくようにしたほうがいいのではないですか?と聞いたら、それだと腕のモーメントが大きくなりすぎて動かすのが大変になるのだそうだ。ロボットも肩が凝っちゃうわけだ。

 来年の愛知万博期間中の6月には、全身が完成した形で展示される予定だそうなので、乞うご期待といったところだ。

square

 東京大学の板澤一樹さんと東京藝術大学の大野由紀子+小松宏誠+四方健雄さんたちのコラボレーション。とても美しかったが、写真にとるのはほとんど不可能だった。だから写真なし。ごめんなさい。

 底面が1辺80センチの正方形、高さ2メートルのガラスでできた箱。そのまん中に透明な管がたっていて、そのなかに白い羽(ダチョウのだって)が浮かんでいる。この羽のいる高さはときどき変わる。間の中の空気圧を調整しているのだ。そしてこの羽は下からあたる白い光に照らされて、きれいに浮かび上がってみえるのだ。さらに、最後にもう一つ大きな仕掛がある。ガラスの箱の面のうち、こっちを向いた1枚にはUMUフィルムが貼られているのだ。

 UMUフィルムというのは液晶を使ったフィルムで、普段は乳白色の不透明をしている。でも、これに電圧をかけると一瞬にして透明になるというもの。ガラスに貼ると、スイッチひとつで曇りガラスと透明ガラスを切り替えられるという物ができるわけだ。このガラス越しに羽を見るのだ。

 ガラスが透明なときは、管もその中の白い羽もそのまま見える。でも、曇りガラスになると、そんなものは全く見えなくなって、ただ白い光の玉が上下するだけになる(板澤さんにいわせると「ひとだまみたいでしょ」)。

 羽の上下とガラスの状態変化とが組み合わって、だんだんに変化していく、その流れを「ひとつの映像作品のように味わってほしい」というものなのだそうだ。

 これは、派手なインパクトはないんだけど、なんとなくほけーっと見ちゃうものだ。光の演出作品なので、暗いところじゃないとおもしろくない。そうじゃなければ、待ち合わせ空間におけるのに。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.