1月6日からの展示会スタートを控え、前日夜の恒例行事でもあるマイクロソフトCSAのビル・ゲイツ氏が基調講演を行った。日本ではコンシューマー向けの存在感がやや低下しているイメージを受けるマイクロソフトだが、やはりゲイツ氏の存在感は別格だ。
午後7時からの基調講演に対して、一般客の列は約3時間前の時点で200メートル近くにまで伸びていた。例年以上に基調講演の列は早く成長し、午後6時過ぎには会場となっているラスベガス・ヒルトンホテルのシアターには入場できなくなっていた。それだけ、デジタル化が進む中でのマイクロソフトに対する期待感があるのかもしれない。
しかし、デジタル家電とPCの関係について、全く新しい方向を示せたのか? と言えば、“ノー”という答えになるだろう。ゲイツ氏はここ数年、講演のテーマとしている“デジタル化のための10年”について話し、その主張には微塵のブレも感じさせないが、新しい何かへの脱却を望む者にとっては、やや物足りない内容だったかもしれない。
特に日本人にとっては、ゲイツ氏の提案が手元にはスグに届いてこないもどかしさがあるからだ。
もっとも、ゲイツ氏の講演に物足りなさを感じた理由の大半は、日本と北米のコンシューマー向けPCにおける状況が全く違うことにある。日本ではごくごく、限定的にしか使われていない「Windows XP Media Center Edition」(MCE)だが、北米では店頭で販売されるデスクトップPCのほとんどがMCE搭載となり、その勢いはノートPCにまで広がっている。
近年のマイクロソフトは、コンシューマー向け戦略の中心にMCEを据えており、マイクロソフトの新しい製品やサービスはMCEを基礎に派生したものばかりだ。かつてマイクロソフトは、Windows 95/98の圧倒的なシェアを背景に強力にインターネット戦略を推し進めたが、それと同じことをデジタル家電/ホームネットワークの世界でも行っている。
たとえば昨年、ゲイツ氏は“シームレスコンピューティング”というキーワードを掲げ、生活のさまざまな場面に入り込んでいるデジタルデバイスとデジタルコンテンツ、それにPCの間を、境目なく自然な形で統合するコンピューティングモデルについて話した(関連記事)。このときにゲイツ氏が取り上げた同社の製品は、「Media Center Extender」や「Windows Media Connect」、「SPOT」「Windows Portable Media Center」などがある。
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