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「専門チャンネル」の視聴者を増やすには、どうすればいいか(3/3 ページ)

» 2005年01月14日 17時47分 公開
[西正,ITmedia]
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 すべての人がとは言わないが、高齢者は比較的、お金に困っていない人が多い。むしろ高齢者向けの娯楽が少なすぎるくらいだ。有料放送といっても、月々の視聴料くらいは何とでもなる方が多いだろう。高齢者のことばかりに触れてきたが、専業主婦でも同じである。メカに弱い人はたくさんいるのだ。中高年の働き盛りの人もそうだし、OLだって同じかもしれない。

 とにかく、今の有料専門チャンネルは、ターゲットとなる視聴者を絞っていると言いながら、実際には、かなりメディアリテラシーの高い人しか加入できない仕組みになっている。

 加入した後でも、個別チャンネルごとの簡単な冊子くらい作って、「今月の見どころ」のようなものを紹介しておくべきだ。スカパー!の分厚いガイドブックの中から、自分の見たい番組を探し出せる人がどれだけいるだろうか。まして、あの小さく細かい字である。とてもではないが、あのガイドブックが高齢者までを視野に入れているとは思えない。

 各専門チャンネルも工夫はしていると言う。しかし、的外れの工夫をいくらしてみたところで、実際のターゲットを捉えることはできない。ターゲットとする視聴者のライフスタイルをよく再検討してみることが必要だろう。

 まず、番組編成からPRに至るまで、地上波的発想は捨てて考えることだ。そうしないと、専門チャンネルの視聴者を増やすことは難しい。

 本稿で例に挙げた邦画チャンネルに限らず、色々なジャンルのチャンネルにおいて、ターゲットを絞った番組編成やPRを試みてみることが必要だ。潜在顧客はまだまだだくさんいると思われる。にもかかわらず、残念ながら、潜在顧客に対して、チャンネルの魅力を伝えきれていない事業者が多いというのが実情だ。原点に立ち返って考えれば、専門チャンネル放送の視聴者はまだまだ大勢いるはずである。

西正氏は放送・通信関係のコンサルタント。銀行系シンクタンク・日本総研メディア研究センター所長を経て、(株)オフィスNを起業独立。独自の視点から放送・通信業界を鋭く斬りとり、さまざまな媒体で情報発信を行っている。近著に、「モバイル放送の挑戦」(インターフィールド)、「放送業界大再編」(日刊工業新聞社)、「どうなる業界再編!放送vs通信vs電力」(日経BP社)、「メディアの黙示録」(角川書店)。

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