ITmedia NEWS >

「専門チャンネル」の視聴者を増やすには、どうすればいいか(2/3 ページ)

» 2005年01月14日 17時47分 公開
[西正,ITmedia]

 21時、22時になると、さすがに地上波も大人向けの番組を流し始める。テレビの前からは少しずつ若者の姿は消え始め、ネットや携帯に向かい始める。それでもウィークデイだと、大人がじっくりと映画を楽しむ余裕はないかもしれない。しかし、少なくとも地上波と“大人の視聴者”の取り合いをするのなら、その時間辺りから、邦画のファーストランを流す価値が上がってくる。それは確かだ。

 そして週末のその時間帯こそが、まさに取って置きの大作を流すべき時間と言えるだろう。つまり、専門チャンネルの場合には、“取って置き”を流すタイミングが、地上波とは曜日も時間も違うのである。

固定観念に縛られないこと

 もちろん邦画チャンネルを提供されている事業者の方は、「いや、今だって時間帯や視聴者層に合わせて編成を考えている」と言うに違いない。例えば、高齢者は早起きだから、午前6時台には高齢者に人気のある時代劇を放送している――といった具合である。

 確かに、高齢者は早起きだろう。だが、だからと言って、本当に朝の6時から時代劇などを見る人が数多くいるとは思えない。結局、高齢者のライフスタイルを実際に検討したわけでもなく、単純に高齢者は早起きであるという固定観念によって決めただけなのである。その程度の視聴者分析では、とうていきちんとした番組編成をしているとは呼ぶことができない。

 むしろ目をつけるとしたら、正午前後から夕方早めの時間帯ではなかろうか。ゴールデンタイムはチャンネル決定権を巡る競争が熾烈であり、なかなか高齢者の思うようにはならないが、昼間の時間帯ならば家にいる人間は限られている。高齢者のゴールデンタイムというのなら、まさに昼間の時間帯なのだ。

 昼間がゴールデンタイムということからすれば、専業主婦もそうかもしれない。ただし、高齢者も専業主婦も家に閉じこもってばかりいるわけではないので、あまり決め付けてしまうと間違いの元になる。ただ、他にやらなければいけないことはあるにせよ、比較的自由になる時間帯であることは確かなので、予め、昼の何時からお目当ての番組が放送すると分かっていれば、それに合わせて用事を済ませることは可能だろう。

 地上波も昼の時間帯の視聴者がどういう層なのかは了解して番組編成を行っている。だが、地上波特有の横並び意識がここでも表れ、19時以降のお笑いバラエティーと同様に、この時間帯も局によってあまり代わり映えのしない番組が並んでいる。だからこそ、専門チャンネルを視聴できる環境にある人たちに、専門チャンネルの方から番組を選んで視聴してもらうといったスタイルを定着させることが可能なはずなのだ。

PRの仕方にも工夫を

 仮に高齢者をターゲットにするチャンネルだとすると「EPGを見て、そこから好きなチャンネルを選んでもらう」などというやり方ではうまくいくはずがない。有料放送の視聴=EPGの中から探してもらう、という考え方では、マーケティングにも何にもなっていないと指摘されてもやむを得ないだろう。

 ケーブルテレビのベーシックチャンネルの中から選ぶのであれば、リモコンで色々なチャンネルを回していれば、お目当ての番組も見つけ出しやすいと思う。だが、直接受信を前提にするような場合、今の有料放送はまだまだリテラシーの面からも敷居が高いことは間違いない。

 ハイテクも良いのだが、高齢者に邦画の古い名作や、時代劇などを見てもらおうとするならば、新聞にチラシでも挟んでおく方が余程、効率的だとさえ言えるのではないだろうか? それこそ、チラシに大川橋蔵の写真でも載せ、「ただ今、銭形平次の特集中。見たい方は、下記にお電話下さい」と書いてあった方が、電話一本で視聴することができるようになる。

 既に、スカパー!のチューナーのある家や、110度CS放送が見られる三波共用機のデジタルテレビがある家ならば、手続きはシンプルである。そういう環境のない家であれば、電話番号は近くの電気店のものでも載せておいて、そこで視聴するための環境を整えてもらえば良いのである。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.