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“プラズマカンパニー化”でトップシェアを狙う松下電器米国市場に見る“テレビのこれから”〜前編〜(2/2 ページ)

» 2005年01月18日 14時10分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 昨年はリアプロTV市場の加熱が注目されたが、今年はプラズマテレビへの注目度が高い。

 「たとえば昨年クリスマス商戦を控えた時期の調査ですが、『クリスマスプレゼントで何が欲しいか』というアンケートで1位だったのはプラズマテレビでした。北米では薄型・フラットパネルのテレビと言えばプラズマというイメージが出来ています。32インチ以上のフラットパネルテレビのうち95%がプラズマテレビで、残り5%が液晶テレビです。その1年前、液晶テレビは3%程度でしたから、液晶テレビも伸びているとは言えますが、市場での認知はプラズマの方が圧倒的に高いと言えます」

 「とはいえ、お客さんは使っているパネルが液晶かプラズマかで選択しているのではなく、あくまでも品質の高い製品を適正な価格で入手したいというだけです。プラズマ対液晶で争うものではなく、ユーザーのニーズに応える製品を提供することが基本だと考えます」(河野氏)

“選択と集中”の実践

 河野氏はPanasonic North America社長に就任する前、北米でのPCの販売を担当していた。丈夫さ、環境への適応性などをウリにしたTOUGHBOOKシリーズを大々的に推進し、警察署や軍など厳しい環境下で使われるPCにフォーカスした戦略が当たり、特定分野のみながら圧倒的に高いシェアを獲得し、PC業界におけるパナソニックブランドの向上に一役買った。

 「自分たちが得意な技術、他には真似できない分野にフォーカスを絞った事が功を奏した」

 河野氏は、同じ戦略をAVの分野でも実施したわけだ。

 「家電ならば何でも売るというのではなく、パナソニックブランドを向上させるために、何がもっとも良い事なのか。選択と集中、今回の場合はプラズマテレビを集中的にプロモーションすることで、パナソニックをプラズマディスプレイカンパニーにすることを目指しました。もちろん、DVDレコーダやリアプロTVといった商材もありますが、プラズマテレビでパナソニックのブランド力を引き上げることで、会社全体のイメージ向上に繋がるとの考えのもとに、他製品の担当者にも理解をいただいています」(河野氏)

 ではこの先の北米市場におけるプラズマテレビの動向を、河野氏はどのように見ているのか?

 「将来的には45〜50%のテレビがプラズマになるかもしれない、と見ています。プラズマテレビ普及のカギは、やはり価格をどこまで下げられるかにかかっています。現在、北米における42インチプラズマテレビは、HD対応で5500ドル、SD(もしくはED=ワイドサイズのSD)対応が3000ドルぐらいで、その差は2500ドル。これだと、いくらHD対応機が欲しくても多くの消費者はHDモデルを買いません。実際、60%はED解像度のプラズマテレビです。短期的にはHD対応機が4000ドル、ED対応が2500ドル、つまり差が1500ドル以内にすることが目標です。さらに、両者の差が300ドル程度になれば、ほとんどがHDとなりプラズマテレビ全体の伸びも顕著になってくるでしょう」

 現在、42インチのプラズマテレビはDellの製品が価格ベンチマークになっているという。

 「HD対応で3499ドル、ED解像度モデルで2299ドル――液晶はこの激しい価格競争についてこれるでしょうか?」(河野氏)

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