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スパイダーマンの足を引っ張るAV――苦戦続くソニー(2/2 ページ)

» 2005年01月27日 22時21分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 苦戦が続くエレクトロニクス分野の中で、気を吐いているのが持分法適用会社のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ。売上高は前年同時期比40%増の2772億円、税引き前利益も前年同時期204%増の190億円となった。「欧州を中心に、メガピクセルカメラを搭載した3G携帯が好調な売れ行きを見せている」(湯原氏)

 ゲーム分野はPlayStation 2の販売数量減少と価格引き下げが響き、売上高は前年同時期比マイナス23%の2826億円、営業利益は昨年同時期比マイナス36.8%の446億円にとどまった。期待されるPSPについては、利益に反映されるほどの数量が販売されておらず(現時点までの販売台数は51万台)、今回の決算だけでいえば、立ち上げ費用が営業利益を圧迫した形になっている。

photo ゲーム分野はPS2の販売台数減とPSPの立ち上げが営業利益を圧迫した

 ただし、PS2の販売台数減については、新型(薄型)PS2が導入されたことに伴う、従来型からの切り替え時期という側面もあり、第4四半期も引き続き「高水準の生産」(同社)を行う予定だ。一方のゲームソフトは好調で、昨年末に発売した「グランツーリスモ4」などヒットタイトルにも恵まれた。湯原氏は「PS2ビジネスは収穫期」と表現し、ゲームソフトビジネスについて一層の期待を込める。


 売上高こそ前年同時期比マイナス7%にとどまったが、営業利益は同マイナス13%となっており、収益率の回復は同社の大命題となっている。

 収益力低下について井原氏は、「ソニー商品の一部が“力負け”しているのは確かかもしれない。しかし、“負けられない”という意識を持ってビジネスを進めていく。特に2006年はソニー創設60年にあたるので、記念モデルなども出していくつもりだ」とあくまでも強気の姿勢を示す。

 ただ、HDDウォークマンが登場当時、同社の推進するATRAC3のみの対応だったところが、後に発売されたモデルではMP3にも対応するなど、これまで同社が切り札としてきた「ソニーらしい独自技術」がユーザーに受け入れられないという事態も起こっている。

 「“何を守っていく技術にし、どこにオープンな技術を採用するのか”を、混同していたことはあるかと思う。かたくなに独自技術を保持して悪い影響を及ぼしていたこともあったが、今後はユーザーの目線から、どの技術を使うか使わないかを取捨選択していきたい」

 湯原氏は、ややもするとかたくなに自社技術を利用してきた同社の方針を、柔らから口調ながらも批判し、よりユーザーの目線に近いモノ作りを行うことで、“AVのソニー”を復活させたいとした。

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