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ソニー、業績説明会から見えてくる「次の一手」(1/4 ページ)

» 2005年01月31日 11時25分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 先週27日に行なわれたソニーの「2004年度 第3四半期 業績説明会」は、同社のエレクトロニクス分野での苦戦がよく分かる説明会となった。これに対して、執行役副社長兼グループCSO&CFOの井原勝美氏は、4つの改善の柱を提示している。いわく、

1.ディスプレイ事業の強化

2.デジタルイメージングビジネスの強化

3.コネクトカンパニー設立

4.半導体・キーデバイスへの投資

 である。

 この中で、4.の「キーデバイスを自社生産で確保する」という半導体事業強化の延長線上にあるのは、基本的にはディスプレイビジネスの収益性向上だろう。かつてのトリニトロンのようなオリジナルのデバイスを持てれば、よそから資材を調達して組み立てている現状のディスプレイ事業の収益率を上げることができる。

 ここではわれわれ一般消費者にとって関係のある1〜3の強化策について、具体的に製品をイメージしてみよう。

テレビの近未来

 説明会の中では、ブラウン管の収益降下にも言及されているが、これはある意味、仕方のないところだろう。すでに同社は国内でのブラウン管製造を止めたことからも、長いスパンでは収束に向かいつつある事業であることが分かる。今後の強化ポイントとしては、LCDとリアプロが挙げられている。

 LCDでは昨年、QUALIAシリーズで3色LEDバックライトの「トリルミナス」という新しい方式を提案したが、これはかなり市場にインパクトを与えたようだ。

3色LEDバックライトの「トリルミナス」を採用した「QUALIA 005」

 現在このトリルミナスを採用したモニタは、「QUALIA 005」と「VAIOフルHDディスプレイ VGP-D23HD1」しかないが、井原氏は発言の中で、これのマスゾーンでの強化を上げている。おそらくこの方式を「WEGA(ベガ)」のラインナップに落としてくることが、この発言から予想される。

 LEDバックライトという方式は、映像としては素晴らしくても、コスト面でもエネルギー面でも効率が悪い。加えてソニー独自の技術というわけではなく、現時点ではバックライトパネルメーカーの製造技術に依存している。だが、この部材開発や製造にソニーの半導体部門が乗り出してくれば、エネルギー効率面の改善は早まるだろう。それに続いて数が出ることで、コストも下がる。

 現在トリルミナスには、2つの方式が存在する。一つはQUALIA 005のように、背面に全部LEDを敷き詰める方式。もう一つはVAIOフルHDディスプレイのように、左右にLEDを配置して反射・拡散によって全画面をカバーする方式だ。全面LED方式をマスゾーンで展開するためには、先に単体の部材コストが下がらなければ難しい。一方、左右に配置する方法では、原理的に光源が遠くなってしまうので、大画面では輝度が稼げないという問題がある。

 この点について筆者は、LED単体の効率を改善して少ない数の背面設置を行ない、さらに反射・拡散を組み合わせて全画面の輝度を均一化するという双方ミクスチャー方式が、とりあえずは無難なのではないか――と、勝手に想像しているのだが……。

 もう一つの強化ポイントであるリアプロに関しては、これも「QUALIA 004」で採用した技術のマスゾーン展開策の一つとなるだろう。

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