ソニーは8月19日、高級志向のブランド「QUALIA」シリーズとして地上/BS/110度CSデジタル対応ハイビジョン液晶テレビ“QUALIA 005”2機種を発表。46V型「KDX-46Q005」と40V型「KDX-40Q005」を11月10日から発売する。価格は、KDX-46Q005が110万2500円、KDX-40Q005が84万円。
人の心に訴える“モノづくり”のために同社が2001年の5月に発足させた「QUALIA」プロジェクト。そのコンセプトのもとに004(ホームシアター用プロジェクター)/007(スーパーオーディオCDシステム)/010(ステレオヘッドホン)/015(トリニトロンカラーモニター)/016(超小型デジタルカメラ)/017(ポータブルMDプレーヤー)と、これまで6機種が製品化された(番外で017付属のインナーイヤーレシーバー「MDR-EXQ1」も発売)。
だが、多くのユーザーが期待していた“QUALIAテレビ”は、なかなか商品化されなかった(015はモニターでテレビチューナーは非搭載)。
QUALIAシリーズ待望のテレビ第一弾となる005は、同日発表されたベガHVXシリーズと同様に、統合デジタル高画質システム「ベガエンジン HD」を搭載。そのコア技術となる映像信号処理技術「DRC-MFv2」により、被写体の持つ質感/解像感/艶感/遠近感をよりリアルに表現し、美しいハイビジョン映像を創造する。
このベガエンジンHDと強力タッグを組むのが、液晶パネルに搭載されたLEDバックライトシステム「トリルミナス」だ。
従来、液晶テレビのバックライトには、冷陰極管(CCFL)など蛍光管が使われていたが、緑や赤などの色域(デバイス特性によって決まる再現可能な特定の色の範囲)が狭いことから色再現性でリアリティが失われれるという欠点があった。
トリルミナスでは、光の三原色である独立したRGBのLEDを液晶のバックライトに採用することで広い色域を確保。NTSC比で105%、sRGB比150%の広色域を可能にした。46V型のKDX-46Q005では、約450個のLEDが使われている。
「民生用の薄型テレビでLEDをバックライトに使うのはQUALIA 005が世界初の試み」(同社)
「より自然界に近い色、“記憶色”を再現することを目指した。色純度の高いLEDの特性を生かして、緑や赤の色域を大幅に拡大。これまで民生用テレビでは再現できなかった“熟成されたワインの深紅”や“鮮やかなフェラーリレッド”、“萌える木々の新緑”などをリアルな色で再現できる」
液晶パネルは1920×1080ピクセルのフルHDパネルを採用(40V型KDX-40Q005は1366×768ピクセルのWXGAパネル)。プログレッシブ対応で、応答速度は10ミリ秒の高速タイプだ。
また、ベガHVXシリーズでも採用されたフルデジタルアンプ「S-Master」+100ワット出力のサウンドシステムを搭載。大容量4.5リットルのスピーカーボックスを持つウーファーなどを含め、ベガHVXシリーズでは8個だったスピーカーを計10個に増やしてさらなる高音質を追求した。
PSXゆずりのCPU「エモーションエンジン」と描画プロセッサ「グラフィックス・シンセサイザ」を使った新しいGUI「XMB(クロスメディアバー)」や、XMBをさらに効率よく操作できる折りたたみ式リモコンを採用。地上/BS/110度CSデジタルと地上アナログの4放送をそれぞれ2つずつ内蔵した「フルダブルチューナー」や、HDMI/USB/メモリースティックスロット/D4端子/AVマルチ入力端子/iLinkなど多彩なインタフェースの搭載など、ベガHVXシリーズ同様の高機能を装備した。
そのほか、ディスプレイ背面のヒートシンクに見られる機能美や、アルミとアクリルを駆使して高級感を演出するなど、デザイン面でもQUALIAシリーズの基本コンセプトである“人の心に訴えるモノ作り”を採用している。
ただし、今回のQUALIAは従来シリーズよりも一般ユーザー向けにシフトした製品になっている。
受注生産を基本としてきたQUALIAシリーズは、販売ルートも銀座ソニービル/大阪ソニータワー内にあるQUALIAショップでのみ受注・販売が行われてきたが、今回のQUALIA 005はベガシリーズと同様に一般店舗でも販売されるという。
価格も、従来シリーズが一般製品より“0”が1ケタ多い高額商品だったのに対して46V型で約110万円、40V型で84万円と、同サイズの液晶テレビに比べて1〜2割アップ程度にとどまっている。
「従来のQUALIAシリーズは、今までのエレクトロニクス製品にない感動を与えるモノを提供するために、きめ細かい対応が必要だった。一方、今回は“テレビ”という当社の柱の商品で、分かりやすい機能ということもあり広くユーザーに知ってもらえるモノになっている。テレビという商品は実際に画質を見てもらわないといけない。QUALIAショップだけでなく、新しい特約店を開拓して、QUALIAの良さを理解してもらえる場を広げていきたい」(同社)
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