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ソニーの「QUALIA 001」って何?インタビュー(2/3 ページ)

» 2005年02月07日 13時45分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 ハイビジョンは1080iで放送されているのだから、1080iに変換する意味はあるのか? と疑問に思うかもしれないが、実際にQUALIA 001を通した時、通していない時の映像を見比べると、明らかに解像感、立体感が増す。解像感が増すと言っても、たとえば肌や衣類などフォーカスの合った部分は質感が増してディテールが浮き上がってくるが、ややフォーカスの外れた背景はノイズ感が高まることもなく豊かな階調で描かれ、奥行きが圧縮されるどころか深くなる。

photo 右がQUALIA 001を通した映像。両方ともにSXRDプロジェクター「QUALIA 004」で投影している
photo 上と同じく、左がそのまま、右がQUALIA 001を通した映像

 デモでは、主にHDCAM-SR (約1/3圧縮)で収録された画像で行なわれたが、ソニー製のHDVカムコーダHRD-FX1(1440×1080のインターレス記録)も同様に画質が上がる。放送でも横1440ピクセルのものは、輪郭が甘く解像感に乏しいものが多いが、FX1での効果を見る限り、それらの放送も解像感が上がって、グッと引き締まった映像になりそうだ。

photo HDVカムコーダHRD-FX1で撮影した映像も画質が向上する。右がQUALIA 001

 その効果は決して小さなものではなく、同じディスプレイでも明らかに質感の表現力が増し、金属はより金属らしく、布はより布らしく描かれるから不思議だ。画質にこだわる向きには目から鱗の製品である。少なくとも、QUALIA 004ユーザーは漏れなくセットで購入するべきだと思えるほどQUALIA 001の効果は絶大だ。

photo 右がQUALIA 001映像

 不思議なことに色再現も異なり、QUALIA 001を通した方が芝生や空など自然の色が、より豊かかつリアルに描かれる。ディスプレイ側は必ずしもフルHD対応でなくてもよく、XGAクラスの旧式プラズマディスプレイなどでも、明らかな画質向上効果が見て取れる。

photo 右がQUALIA 001映像
photo 旧式プラズマディスプレイなどでも、画質向上効果が得られる。右がQUALIA 001映像

QUALIA 001が提案するHD時代の付加価値

 AVマニア的発想でQUALIA 001を捉えると、50万円の高品質アップスケーラということになるだろう。ハイビジョン放送をより高品質にするだけでなく、さまざまな映像ソースを高品質に変換した上でハイビジョン信号で出力されるのだから、これまで高価な映像機器に投資してきたユーザーには魅力はある。QUALIA 004ユーザーはもちろん、8インチ、9インチクラスの高級三管プロジェクターを使っているユーザーにとっても、投資する価値はあるだろう。

 近年、映像機器が固定画素になり、フォーマットをどのように引き延ばして映し出すかなど、内部の映像処理回路によって画質が大きく変化する時代になった。数年前のフラットパネルテレビを見ると、ここ数年での技術の進歩を強く感じることもある。しかしQUALIA 001を用いれば、そうした数年前のHDディスプレイの画質を向上させる事もできる。

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