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ソニーの「QUALIA 001」って何?インタビュー(1/3 ページ)

» 2005年02月07日 13時45分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 2003年6月に立ち上げられたソニーの新ブランド“QUALIA”。社内からQUALIA向けの企画を集めて審査し、認定した順番に3ケタの番号を振っているという。QUALIAのモデル番号が飛び石になっているのは、その間に開発中の製品があるからに他ならない。

 そのQUALIAで最初に認定、つまり「001」を獲得したのはいったいどんな製品なのか? ――ブランド立ち上げから1年半もの間、多くのユーザーが興味を持っていたことだろう。

 その謎が明らかになったのは、先日1月12日の事。一番小さな認定番号を取ったのは、ソニー業務執行取締役員上席常務とA-cubed研究所・所長を兼務する近藤哲二郎氏がプロジェクトを指揮した「QUALIA001 クリエーションボックス」。すでに先月29日から受注を開始している。

photo QUALIA001 クリエーションボックス

 では“クリエーションボックス”とは如何なる製品なのか?近藤氏に話をうかがってみた。

photo ソニー業務執行取締役員上席常務 兼 A-cubed研究所・所長の近藤哲二郎氏

ハイビジョン信号をさらに美しくする“魔法のアルゴリズム”

 ごく簡単に“クリエーションボックス”を説明すると、通常のアナログ地上波放送やDVDの映像、さらにハイビジョン放送をより美しく仕上げてディスプレイに映し出す箱形の装置だ。近藤氏は「映像という素材を用い、それを美味しく料理してディスプレイに盛りつけする一流シェフのようなもの」と話す。

 そのルーツは意外にも古く、97年にWEGAにはじめて搭載されたDRC(Digital Reality Creation)のリアル4倍密機能にまで遡る。リアル4倍密とは、アナログ地上波のSD(480i)信号を縦・横各2倍の4倍密に変換する際、一般的な線形補完アルゴリズムを用いずに4倍のピクセルを作り出す手法。SD信号に含まれるオーバーシュート/アンダーシュートをキャンセルし、エッジをHDTV並のシャープな立ち上がりに変換する。

 そのDRCチップを改良し、リコンフィギュアブル(再構成)可能なLSIとしたのが翌年のDRC-MF。リアル4倍密以外に、プログレッシブ化を行うリアルプログレッシブ、フレームレートを倍化するリアル120Hzといった処理モードを備え、映像ソースの種類よって適したモードの選択が可能になった。このコンセプトを発展させ、解像度重視、歪み抑制重視の2軸で好みの映像を作り出す事を可能にしたのが2001年のDRC-MFv1である。

 これらの映像処理技術は、いずれも480i信号をソースとして、ハイビジョン出力装置に高品質化した映像を映し出すものだが、QUALIA 001に搭載されたのは、そのさらに進化版で昨年発表されたばかりのDRC-MFv2だ。DRC-MFv2は480iだけでなく、1080iといったHD信号に対しても高画質化処理を行う。DRC-MFv2が最初に採用されたのは現行WEGAのHVXシリーズQUALIA005。今後、日本での発表が見込まれているSXRD搭載リアプロTVにも搭載される見込みだ。

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