キヤノンは2月18日、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラの新製品「キヤノン EOS Kiss Digital N」を発表した。3月17日に発売する。価格はオープンだが、ボディのみの実売が10万円以下、標準ズーム(「EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM」)をセットにした「レンズキット」が12万円以下、標準ズームと望遠ズーム(「EF-S55-200mm F4.5-5.6 II USM」)をセットにした「ダブルズームレンズキット」が14万3000円以下になる見込み。
EOS Kiss Digital N(以下 Kiss D N)は、2003年9月に発売された「EOS Kiss Digital」の後継機。この“初代Kiss D”が142(幅)×99(奥行き)×72.4(高さ)ミリ・560グラム(本体のみ)であったのに対して、Kiss D Nは126.5(幅)×94.2(奥行き)×64(高さ)ミリ・485グラムとひと回り小型軽量になった。485グラムという重さは、これまでデジ一眼で最軽量だったペンタックスの*ist DS(505グラム)よりも軽くなり「世界最軽量のデジタル一眼レフカメラ」(同社)となった。
“世界最軽量”の称号をライバルから奪取するために、同社ではボディ設計の大幅見直しを実施。ステンレス製シャーシと特殊エンジニアリングプラスチック製小型ミラーボックスで構成された本体のコンパクト化を行ったほか、機能集約によって部品点数を削減するなどで小型軽量化を図ったという。
「メインシャーシをコンピュータシミュレーションを使って設計段階で徹底的に最適化。その結果、ステンレスの板厚を約2割薄くすることに成功した」(同社)
また、本体内で大きなスペースを占めていたリチウムイオンバッテリーを、従来のBP-511/BP-511A/BP-514からより小型な「NB-2LH」に変更。これにより、バッテリー重量だけで27〜37グラムも軽量化している。
ただし、バッテリーを小型化すると容量も当然減ってしまう。新旧のバッテリー容量を比べても、従来が1100〜1390mAhだったのに対して、新採用のNB-2LHは720mAhしかない。この問題を解決するため、回路設計の見直しなどで消費電力の低減を徹底。省電力化によって、バッテリー容量が少なくなったにもかかわらず、撮影可能枚数は初代Kiss Dと同じ600コマ(ストロボなしで常温)を確保している。
「電池やレンズ(標準ズームレンズ)込みでも715グラム。どこにでも気軽に持ち歩きたい、快適な軽さになった」(同社)
また、従来のKiss Dのウィークポイントであった“起動の遅さ”を大幅に改善。Kiss Dは電源を入れてから撮影がスタンバイになるまで約2.8秒かかっていたがKiss D Nでは約0.2秒となり、電源ON→撮影スタートがほとんどタイムラグなしに行えるようになった。そのほか、連写スピードも3コマ/秒(Kiss Dは2.5コマ/秒)、連続撮影枚数も14枚(JPEG:Large/Fine時、Kiss Dは連続4コマ)の撮影が可能になった。
低価格で小型軽量でも、デジ一眼としての基本性能はしっかりおさえている。撮像素子には有効約800万画素、サイズ22.2×14.8ミリの大型単板CMOSセンサーを採用。さらに画質を左右するローパスフィルター(LPF)を上位機種と同様に3枚使った3層LPFを採用し、極めつけは同社独自の高性能映像エンジン「DIGIC II」を搭載して「妥協のない高画質」(同社)を作り出しているのだ。
「当社のカメラに対するテーマは“写真の未来は、キヤノンが創る”。市場への普及には強い使命感を持っている。デジタルカメラは爆発的な普及をみせており、メディアも大容量化し、写真を撮るコストも下がった。ショット数の増加で、アマチュアユーザーの技術が向上してきた。これがデジタルフォト文化の開花につながると思っている。新しいEOS Kiss Digital Nで、さらなる普及を図りたい」(キヤノン販売常務の芦澤光二氏)
EOS Kiss Digital Nの主な仕様は以下の通り。
製品名 | EOS Kiss Digital N |
---|---|
形式 | ストロボ内蔵デジタル一眼レフAF・AEカメラ |
レンズマウント | キヤノンEFマウント |
撮像素子 | 22.2×14.8ミリ有効約800万画素CMOSセンサー(原色フィルター) |
ISO感度 | ISO 100/200/400/800/1600相当 |
記録画素数 | 3456×2304/2496×1664/1728×1152ピクセル |
記録方式 | JPEG、RAW(12ビット) |
AF方式 | TTL2次結像位相差検出(7点測距、EV0.5〜18、ストロボ補助光) |
フォーカスモード | ワンショットAF、AIサーボAF、AIフォーカスAF、マニュアル |
シャッター | 電子制御式フォーカルプレーンシャッター |
露出制御 | プログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AE、被写界深度優先AE、マニュアル、E-TTLストロボAE |
シャッタースピード | 1/4000〜30秒、バルブ |
ホワイトバランス | オート、太陽光、日陰、くもり、白熱電球、白色蛍光灯、ストロボ、マニュアル |
ドライブ(連写機能) | 連続約3コマ/秒(最大14コマ:JPEG Large/Fine) |
ストロボ | リトラクタブル(GN13)、E-TTL自動調光対応 |
液晶ディスプレイ | 1.8型TFT液晶ディスプレイ |
記録メディア | コンパクトフラッシュ(Type I/II) |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(NB-2LH、ストロボなしで常温600コマ撮影可能) |
サイズ | 126.5(幅)×94.2(奥行き)×64(高さ)ミリ |
重さ | 約485グラム(本体のみ) |
店頭予想価格 | ボディ10万円以下、レンズキット12万円以下、ダブルズームキット14万3000円以下 |
発売時期 | 3月17日 |
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