サンディスクは米SanDisk社長兼CEO エリ・ハラリ氏を招いての説明会を開催した。ハラリ氏はCESなどで発表された新製品を紹介しつつ、「コストを削減し、販売価格を下げることによって、メモリカードはより幅広い分野で使われるようになるだろう」と自説を展開した。
「メモリカードはPCでは完全に定着したが、向こう10年は家電と携帯向けを伸ばしていきたい。特に携帯電話向けメモリカードの成長には目を見張るものがあり、注目している」
冒頭、ハラリ氏は今後の方針として家電と携帯電話向けに製品を充実させることを明言した。デジカメをはじめ、MP3プレーヤーやゲーム機、携帯電話などメモリカードを利用する製品は増えており、同社によれば、2007年にはメモリカードスロットを搭載する携帯電話の台数は、デジカメの3倍以上になるという。
家電や携帯へ欠かせないデバイスを目指すため、製品のバリエーションも豊富にそろえる。ゲーム機向けに半透明のデザインを採用した「メモリースティックRPO Duo」のほか、本体にUSB端子を搭載した「SanDiskII SD PLUS」、miniSDよりもさらに小型の「TransFlash」などを投入する。これまでメモリカード市場を牽引してきたデジカメについても、20Mバイト/秒という高速書き込みが可能な「SanDisk ExtremeIII」を投入する。
フラッシュメモリを搭載したコンシューマ向け製品そのものも手がける。自社ブランドのポータブオーディオプレーヤー「Digital Audio Player」「SanDisk Sansa e100」を3月から日本国内でも順次発売する予定だ。
Digital Audio Playerは256/512M/1ギガバイトのフラッシュメモリを搭載するスティックタイプで、市場想定価格はそれぞれ1万円以下/1万4000円前後/2万2000円前後の見込み。SanDisk Sansa e100は512Mバイトのメモリを内蔵するほか、SDメモリカードスロットを搭載しており、最大で約2.5ギガバイトまでの拡張が可能だ(内蔵512メガ+メモリカード2ギガバイト)。
製品ラインラインナップの拡大と共に容量アップも進める。現在発売されている製品は4Gバイト(コンパクトフラッシュ)が最大の容量だが、2006年には8Gバイト、2007年には16Gバイトまでの容量拡大を行う計画だ。miniSDやメモリースティックDUOといった小型メモリカードについても、同様に容量拡大が進められる。
「近い将来、携帯でテレビを見るようなシーンが一般化するだろう。そうしてテレビを見ている最中に電話を受けた場合、通話中の番組をフラッシュメモリにキャッシュするような機能が求められる。動画を保存するためには大容量が必要だ」(ハラリ氏)
同社は今年2月、三重県四日市市に東芝との合弁にて300ミリウエハに対応した新工場棟を設立しており、今年後半には90ナノメートルプロセスを使用したフラッシュメモリの生産を開始する。「20億の投資を2006年まで行う予定で、(新工場が稼働すれば)生産量は世界のNAND型フラッシュメモリの30%を占めることになるだろう。中国などではなく、日本に生産拠点を置くのは、日本の高い技術力が必要だからだ」(ハラリ氏)
新工場の完成を受け、ハラリ氏はメモリカードをより日常生活品に近づけるために、積極的に価格も引き下げていく考えを示す。
「今後はさらに価格を下げることが可能になるだろう。現在は1Gバイト=100ドル程度だが、2009年ごろには10ドル程度まで下げることも決して不可能なことではないはずだ。1Gバイト=10ドルとなれば、デジカメの写真が1枚2Mバイトあったとしても、写真1枚あたりのコストはわずか2セントに過ぎず、消耗品として使うことができる。CD-Rに取って代わる存在になりうるし、大容量化を進めればノートPCのメインストレージにも使えるときが来るだろう」
フラッシュメモリの大容量化が進むと小型HDDとのすみ分けが問題となるが、ハラリ氏は低価格化が進めば問題はないという。
ハラリ氏によれば、一般的なユーザーが日常的に使用するストレージの容量は1G〜4Gバイトの間に収まるのだという。ハラリ氏はテラバイトクラスも実現可能なHDDの持つ大容量性は認めながらも「HDDは部品点数の関係から5000円以下の製品を作ることが難しい。しかし、メモリカードならば1〜4Gバイトというレンジに低価格製品を投入できる」と、“日常生活全般をフォローできる低価格ストレージ=フラッシュメモリ”という図式を描いてみせる。
「ストレージを必要とするコンシューマ向け製品のうち、95%はフラッシュメモリでカバーできるようになるだろう」(ハラリ氏)
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