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3つの耳を持つ多機能ICレコーダー、ソニー「ICD-MX50」レビュー:ビジネスに使えるICレコーダー(2/3 ページ)

» 2005年03月11日 21時55分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
photo マイクの感度調整画面。一定の音声レベルになると録音を始める「VOR」(自動音声録音)機能もある

 録音開始は、標準で5つあるフォルダの中から1つを選択して、録音ボタンを押すだけ。録音件数は、256Mバイトのメモリで最大1024件、1つのフォルダに最大99件となっており、数は十分だ。時計設定をしておくと自動的に録音したときの日時も記録される(付属ソフト上では一目瞭然だが、ICレコーダーで確認するときは表示モードを変更する必要がある)。

 内蔵メモリには最長22時間10分のステレオ録音(STLPモード時)、もしくは最長約93時間30分のモノラル録音(LPモード時)が可能だ。録音時の環境に大きく左右されるため、音質を評価するのは難しいが、各モードの周波数範囲が一つの目安になるだろう。なお、指向性スイッチが「入」のときは、録音モードがステレオになっていてもモノラル録音となるが、ビットレートは高いまま(音声の周波数が幅広い)のため、高音質の録音が可能だ。

録音モード 概要 周波数
STモード ステレオ標準モード 60Hz〜13500Hz
SLTPモード ステレオ長時間モード 60Hz〜13500Hz
SPモード モノラル標準モード 60Hz〜7000Hz
LPモード モノラル長時間モード 60Hz〜3500Hz

 実際に、インタビューや記者発表会、会議などを録音してみると、いずれのモードでも十分に聞き取ることができた。だが、録音モードの違いで、再生時の“ストレス度”はかなり変わる。

 たとえば、長いインタビューの録音ファイルを文章に書き起こしているとき。もちろん、LPモードでも普通に作業は進行できるのだが、その後でSTモードのファイルを聞くと随分印象が違う。自分がそれまで、“聞き取る”ために無意識の努力をしていたのだと認識した。

 たとえるなら、LPモードは近視の人が黒板から遠い席に座り、目を細めながらノートに書き写しているような状態だろうか。本人は慣れているつもりでも、知らないうちに疲れが溜まってくるものだ。対してSTモードやSLTモードは、黒板の前に席を移し、さらにメガネをかけたように楽。同じモノラル(ステレオモードでも指向性オンのときはモノラルになる)でも、聞き取りにくい箇所を聞き直す回数が減り、作業の時間を短縮できる。常用するなら、ビットレートの高いモードを使いたいと感じた。

 前述のように、「ICD-MX50」にはメモリースティック デュオのスロットが付いているから、多少の追加投資さえ厭わなければ容量を簡単に増やすことができる。たとえば256Mバイトのメモリースティックを足しておくと、内蔵メモリと合わせてSTモードで23時間近い録音が可能だ。メディアを跨ぐ(内蔵メモリとメモリースティック)連続録音やファイルコピーができないという制限もあるが、ヘビーに使う人ならメモリを増量しておく価値は十分にあると思う。

 一方、録音時にブックマーク機能(インデックス)を使えないの残念だ。パソコンに取り込んでから設定できるのだが、録音中に「ココだ」と思った箇所に信号を打つことができない。MDのときはこれを多用していたので、少々戸惑う。

 その代わり、再生をはじめ、録音ファイルの分割、結合、「重要マーク」といった機能はかなり充実している。再生速度を変更するDPC(デジタル・ピッチ・コントロール)は「遅聞き再生」(5%単位でー50%まで)と「早聞き再生」(10%単位で+200%まで)のきめ細かい設定ができるし、「デジタルボイスアップ機能」は、大きな音の再生レベルを維持したまま、遠くの声など聞き取りにくい小さな声を大きく再生してくれる。広い会議室で録音した内容も、本体前面にあるボイスアップスイッチをオンにすると聞きやすくなった。

 「重要マーク」は、ファイル毎に重要度を設定する機能だ。要件を選択してメニューから「重要マーク」(▲、▲▲など)を選択すると、各フォルダの中で▲の多い順に自動的にソートしてくれる。また、録音ファイルをパソコンに転送した後も維持されるため、一目でそれが重要なファイルであるとわかる。

 たとえば、移動時間などに早聞きしながら録音データを確認し、重要な部分をファイル分割で切り出し、重要マークを付けておけば、後の作業がグッと楽になるだろう。無駄な部分を省いていき、要点をまとめるといった作業に向いているようだ。

photo 重要マーク設定画面。設定すると、▲の数が多いものを上にしてファイルの順番が自動的にソートされる

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