パソコンで再生するときには、同梱ソフトの「Digital Voice Editor Ver.2.3」を使う。録音ファイルは独自形式のため、汎用的なメディアプレーヤーでは再生できないが、このソフトを介せばMP3やWMAにも変換できるし、逆に変換してICレコーダーに記録することも可能だ。
Digital Voice Editorのインタフェースは、上部にファイル操作のためのエクスプローラー画面を設け、下部にファイル再生のためのボタンが並ぶシンプルなもの。大きめのボタンで非常にわかりやすい。
本体再生時と同じように、ー50%から+150%までのピッチコントロール、「デジタルボイスアップ」機能、「1件/A-B間リピート」といった機能も使える。また、本体では使用できなかったブックマーク機能(インデックス)も備えた。
録音ファイルのバックアップも容易だ。自動的に同期する機能もあるから手間はかからない。また、パソコンの画面でファイル名やフォルダ名は任意のものに変更可能。ICレコーダーで設定した「重要度マーク」は、パソコンに取り込んでも維持されし、逆にパソコン上で設定したフォルダ名や重要マークも、同期するとICレコーダー側に反映される。日本語フォルダ名にも対応しているから、液晶ディスプレイで表示したときの視認性は高く、急いで録音を始めたいときにも便利だ。
このほか、オフィス文書のなどのデータを内蔵メモリに記録して持ち歩いたり、手持ちのCDやMP3ファイルを変換してICD-MX50に保存することも可能。オーディオプレーヤーや語学学習用のプレーヤーとしても利用できる。ただ、MP3音楽などは専用形式への変換作業が発生するため、転送時間が長くなることを付記しておきたい。
電源ボタンとブックマーク機能がない点には少々驚いたが、それ以外は極めて多機能なICレコーダーだ。ほかに不満な点を挙げるとすれば、録音ファイルをメモリースティックと内蔵メモリ間で移動できないことだろうか。最近はデジカメや携帯電話の普及でメモリアダプタを持ち歩く人は多いはずだが、USBケーブルはなかなか持っていない。いざというとき、メモリを介してパソコンに取り込めるとありがたいのだが……。
一方で録音ファイルの音質や付属ソフトの使い勝手は秀逸だ。DPCや「重要マーク」、きめ細かい設定ができる「遅聞き/早聞き」などが“テープ起こし”作業(この言葉も死語になりつつある)のスピードをアップしてくれる。ジョグボタンと見やすい液晶画面のUIも使いやすく、少々お値段ははるものの、さまざまなシチュエーションで録音したいヘビーユーザーにはお勧めの一台だ。
しかし自分はというと、やはり録音中にインデックスを入れられない点が気になり、購入を踏みとどまった。最近では、最初からWMAやMP3といった汎用的なフォーマットで録音するレコーダーも増えたが、一方で専用フォーマットを使うメリットの一つにブックマークなどの付加情報があるはず。ここが改善されたら、きっと買ってしまう。そんなICレコーダーだ。
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