デジタルビデオレコーダー市場で“HDD+DVD”のハイブリッド型が完全に主流になる中、あえてHDDレコーダーとして登場した東芝「RD-H1」。HDDレコーダー自体は過去に数社が手がけてきたものの、商業的な成功を収めたものは少ない。ではなぜ、HDDレコーダーなのか。「RDシリーズ」のキーパーソンである、東芝デジタルAV事業部DAV商品企画部の片岡秀夫参事に話を聞いた。
――市場ではハイブリッドレコーダーが全盛です。なぜ、今HDDレコーダーなのでしょう。
「東芝の場合、そもそも大容量HDDに記録するHDDレコーダーこそが、従来のビデオデッキに代わるもと考えていました。だから、当社のデジタルビデオレコーダーは初号機(RD-2000)から単体DVDビデオレコーダーではなく、HDD+DVDレコーダーでした。
それに、HDD+DVDレコーダーが非常に高価だった時期はともかく、今なら多くの人は記録媒体がHDDだけでも困らないはずなんです。録って見て消す、という使い方の人がずっと多いはずなんですね。HDD+DVDレコーダーを買ってDVDドライブは付いているけれど、実はほとんどDVDへのダビングをしたことがない人も多いはずです」。
――しかし、これまでにHDDビデオレコーダーで「成功」といえる製品はないですよね。
「なぜ、今までHDDレコーダーが売れなかったのか、といえば登場時期の問題もあって、10万円を超えるような製品が多かったですし、仮に何らかのメディアに残したいと思った時に、アナログ接続でビデオテープにダビングするくらいしか手段がなかったわけです。ダビングも再生時間と同じ時間が必要で、便利だったはずのデジタルレコーダーが、突然テープデッキ時代と変わらない使い勝手になるわけです。こういった製品を買えるのは、HDDレコーダーのメリットもデメリットもきちんと把握して、機能を割り切れる人だけでしょう」。
――では、当初成功を収めた単体DVDビデオレコーダーはどのように見ていますか?
「単体DVDビデオレコーダーは、分かりやすい製品だったのです。メディアがデジタル記録になって、テープがそのままディスクに変わった。オーディオのMDと一緒です。だから最初は受けた。
でも、メディア単位に録画が縛られるデメリットもそのまま引きずっている。ディスクになって頭出しとか、間違って上書き録画してしまうとかそういう部分は改善してるんですが、結局、管理が面倒という点は改善されていない。どのメディアのどの番組はもう見たのか、そういう管理がいるわけです」。
――つまりテープレコーダーの不便な点をすべて改善するには、記録媒体は大容量なHDDである必要がある、と。
「テープデッキのネガティブな部分を解消するにはHDDしかないんです。そのために初号機(RD-X2000)から“タイトル毎レジューム”も付けています。“どの番組を、どこまで見たか”はレコーダーが覚えていてくれる。
たとえばテープレコーダーの時代なら、1つの番組を1本のビデオテープに録画するのが理想的だった訳です。これなら何番組録画しても、どの番組もテープを入れて再生ボタンを押せば、前回の続きから再生できる。しかし、HDDレコーダーなら1番組ずつ録画したビデオテープを大量に内蔵したような使い勝手を実現できる。つまりビデオデッキの時代からある理想の姿は、大量の番組を録画できるHDDビデオレコーダーでなければ実現できないのです」。
――RDシリーズは、カテゴリーとしてはHDD+DVDビデオレコーダーですよね。でも、基本はHDDビデオレコーダー、ということでしょうか。
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