ITmedia NEWS >

東芝、片岡氏に聞く――「RD-H1」登場の経緯と戦略インタビュー(3/4 ページ)

» 2005年03月14日 12時18分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 「もちろん、ネット de ダビング対応のRDシリーズユーザーが、ダビング先として購入することも考慮しています。正確にいえば、そういう購買層も見込めるので販売に踏み切れたといえますね。そこにプラスαの需要も掘り起こしたい、と。

 RD-X53をリリースした時には既にRD-H1の構想はあって、でも同時発売じゃ“一緒に買ってくれ”と言わんばかりじゃないですか。RD-H1は4月発売ですが、販売数を限定している訳ではないのでよほどのことがない限り、7月でも8月でも買えるはずです。だからネット de ダビング対応のRDシリーズユーザーにも必要なときに買ってもらえればいいんです」。

――RD-XS53/43というと、つまり昨年夏の段階でRD-H1の構想があったわけですか。

 「実は、RD-XS53ではメモリ制限などがあって、ネット de ダビングは入らないといわれていたんです。でも、これ(RD-H1)を出すから、是非機能として入れてくれと開発にねじ込みました。とにかくネット de ダビング対応製品を早く出して、それなりの時間が経っていないとRD-H1が受け入れらられる下地ができないから。エンジニアの方も理解してくれて、どうにかRD-XS53に搭載できました。そういう意味ではエンジニアには恵まれていると思います」。

――機能的にもサイズ的にも「RD-XS24」と共通の部分が多いですよね。DVDドライブがない点を除けば。RD-H1はRD-XS24ベースなんですか?

photo 2004年11月に発売した「RD-XS24」。普及価格帯のモデルながら「ネット de ナビ」などの機能を備えている

 「ハードウェア的にはRD-XS24ベース、ということになります。ただし、ソフトウェアはその後、RD-X5などで強化、変更されていますから、RD-XS24からDVDドライブを外しただけ、ではありません」。

――ネット de ダビングは、今のところRDシリーズ内の閉じた規格です。DLNAのようなスタンダードへの対応はどのように考えているのでしょう?

 「技術としてはDLNAの動向も追ってますし、実装も研究しています。テレビ、パソコンも含めたデジタルホームの実現のための技術ということで、会社全体で研究・開発は進めています。

 ただ現状では、DTCP over IPがDLNAにまだ正式に組み込まれていないので、DLNAを採用する上で一番肝心のコピープロテクションコンテンツの扱いが不透明なんです。ですから、全てが確定してから具体的なことを考えてもいいだろうと思ってます。したがって、RDシリーズではいつ頃対応するとか、積極的にサポートするのか、といったことは何もいえないのが実情です。もちろん、実装におけるコストの問題も無視はできません」。

――RD-H1では「ネット de モニター」もサポートしています。かなり便利な機能だと思うのですが、MPEG1ということで画質が今ひとつな気がします。なぜMPEG2でなくてMPEG1だったんでしょう?

 「ネットdeモニターも実はMPEG2にしたかったんですが、PC側でMPEG2コーデックは標準ではないですよね。仮にサポートするとなると、さまざまなMPEG2コーデックでの検証も必要で、タイミング的にRD-X5にも入りませんよ、という話になったわけです。しかしMPEG1なら問題はない。そういうことです」。

――ネット de ダビングにも関連しますが、なぜAV機器向けとされているIEEE 1394ではなく、イーサネットだったんでしょうか。

 「実はRD初号機の段階で、イーサネットだの、TCP/IPだの、って構想が企画資料には入ってるんですよ(笑)。われわれは、当初の予定通りに開発を進めてきただけなんです。初号機から内部にはLANポートがありまして、開発にも利用してます。それが今は外にも出てきただけですね。IEEE1394はケーブル長の問題もあって、最初から選択肢に入れませんでした。最初から絶対イーサネットだよ、という意見は多かったですし、間違っていなかったと思います」。

――ネット de ダビングは、最新モデルといえるRD-H1でも10Mbps程度の転送速度ですよね。物理インタフェースは100Mbpsなんですが、なにか理由があるのでしょうか。

 「ネット de ダビングの実転送速度ですが、やはりコストの問題が大きいです。高いパーツを使えばいいのですが、それでは低価格な製品への搭載が難しくなります」。

――RD-H1といえば、開発コードが話題になっています。一部の人、たとえばITmediaの読者層には分かりやすい開発コードになったのでしょうか?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.