内蔵メモリは128Mバイトで、ステレオ録音なら4時間20分となる(SHQモード)。メモリカードなどは使用できないため、これが十分な時間か、否かは人によって意見が分かれるだろう。ただ、録音時間が少なくなったらパソコンに接続してバックアップすればいいわけで、常にパソコンを持ち歩いている人なら問題は少ないと思われる。
録音モード | 周波数(音質) | 音声録音可能時間 |
---|---|---|
SHQモード | 100-15000Hz(ステレオ) | 約4時間20分 |
HQモード | 100-12000Hz(モノラル) | 約8時間50分 |
SPモード | 100-5000Hz(モノラル) | 約17時間25分 |
LPモード | 100-2000Hz(モノラル) | 約45時間40分 |
録音モードは4種類。LPモードでは少しこもったような印象になり、録音時に周囲が騒がしい状況だと(たとえばイベント会場など)、後で聞きづらくなるが、会議など室内空間であれば問題はない。一方、HQモード以上は良好だ。さすがに前回取りあげたソニー「ICD-MX50」と比べると、多少見劣り(聞き劣り?)するが、値段が半分であることを考えたら、十分納得のいくレベルといえる。
前述のように、WMAは特別なソフトなしでも再生できるのが魅力だ。その代わり、専用ソフトを使用する機種なら使える便利な機能〜たとえば、オリンパスの従来機にあるような、多段階の再生速度調整やノイズキャンセル機能、ファンクションキーによる再生制御などは使用できない。またレコーダーで記録したインデックス情報も、WMAファイルのヘッダ領域にオリンパスの独自形式で記録するスタイルのため、Windows Media Playerなど汎用的なプレーヤーでは認識不可能だ。製品パッケージにも再生ソフトは同梱されておらず、かなり割り切った仕様といえる。
従来のオリンパス製ICレコーダーの場合、パソコンで再生するときは、製品に同梱されている「DSS Player」もしくはWebサイトで無償公開している「DSS Player-Lite」が利用できた。ただし、残念ながらDSS Playerは一般販売されておらず、WMA対応版も既存モデルの「DM-30」にバンドルされているものだけ。現在のところ、WMA対応のDSS Player-Liteをリリースする予定もないため、V20購入者が入手する手段はない。
ところが、Mac OS版の「DSS Player-Lite」はWMAにも対応している。これをダウンロードしてみると、インデックス情報込みでしっかり再生できた。通常、製品にMac版は同梱されていないから、DM-30を購入したMacユーザーのためにとられた措置だと思われるが、録音方式がWindows Media Audioなのに、Macのほうが便利に使えてしまうというのもなんだか……。
なお、V20ではWMA音楽の再生も可能だ。正式にサポートされているわけではないが、「Windows Media Player」で複数パターンのWMAファイルを作成して試してみたところ、160kbpsまでの固定ビットレートなら問題なく再生できた(192kbps以上はICレコーダーがファイルを認識してくれなかった)。
液晶ディスプレイにファイル名やID3タグを表示することはできず、あくまでWMA採用の副産物といった印象だが、普段からWMAで音楽を聴いている人には魅力的な付加価値かもしれない。転送時にフォーマット変換の必要もなく、PCに接続してひょいひょいとコピーして音楽を持ち歩くことができる。最近は安価なポータブルオーディオプレーヤーにもボイスレコーダー機能が付くようになったが、音楽再生より“録音”を重視するなら、V20を選ぶほうが良いだろう。
機能と操作は極めてシンプルかつ簡単で、PC連携にフォーカスした同機。デザインも魅力的で、毎日持ち歩きたくなるようなICレコーダーだ。CD-ROMなどを省いて価格を下げた点も英断だと思う。
ただ、PCとの連携が便利なだけに、WMA再生に対応したWindows版「DSS Player」がないのは残念。Lite版で構わないから、Webサイトでダウンロードできるようにしてほしい。WMV対応版は既に存在するのだから、開発してもコストが膨れあがることはないと思うのだが……お願いします>オリンパスさん。
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