インテルの開発者向けセミナーイベント「Intel Developer Forum Japan 2005」(IDF Japan 2005)では、PCやエンタープライズ分野以外についても展示やセッションが行われている。家庭内ネットワークもそのひとつで、会場にはDLNA対応機器が多数展示されていたほか、担当者などからは規格の今後についても聞くことができた。
展示されていたのはケンウッド、ソニー、オンキヨー、アイ・オー・データ機器らのDLNAガイドライン準拠機器で、ソニーのルームリンク(VGP-MR100)以外はすべて試作段階のものだ。
DLNAの規格自体は2003年の6月にv1.0が発表され、現在は細部の調整と「プラグフェスト」と呼ぶばれる、メーカーがプロトタイプを持ち寄って相互運用性を試すイベントが定期的に行われている最中だ。このプラグフェストは昨年12月にドイツ、今年3月に東京で行われている。
CEATECやCESの展示を見ても分かるように、各社共に家電のネットワーク化については積極的な姿勢を示しており、DLNAについてもメーカー間の壁を越えた家電ネットワークを実現する規格として力を入れている。
しかし、早期、すくなくとも今年上半期中にそうした環境がユーザーの手元で実現する可能性は低そうだ。DLNAガイドライン 1.0はネットワークメディア(イーサネット、802.11a/b/g)やプロトコル(IP、IPv4、HTTP)、根幹となるネットワーク相互接続規格「UPnP」の仕様を大まかに決めただけであり、サポートされているメディアフォーマットの種類も少ない。
そこで現在作業が進められているのが、ガイドライン1.0の更新と、1.5と2.0の策定だ。ガイドライン1.0の更新にあたっては発行済みドキュメントのアップデートに加え、メディアフォーマットの追加(AAC、AC3、ATRAC3plus、MP3、WMA、MPEG-4、WMVプロファイル)が行われる。
今年半ばの発行が予定されているガイドライン1.5では上記に加えてモバイル機器やプリンターなどへの対応が行われ、2.0では著作権保護機構(DTCP-IPが使われる可能性が高い)やネットワーク帯域保証技術(QoS)の強化などが行われる予定だ。ある関係者によれば、2.0ではHD→SDのトランスコーディングや5.1chサウンドのサポートも行われる可能性があるという。
DLNAでは今後も積極的にラウンドロビンテストを行っていく予定であるほか、デジオンのように相互接続実験が行えるラボを開設したところもある。しかし、「ガイドライン1.xは確実に接続できることを目指す規格」という声があるように、現在は接続性の確認に労力のほとんどをとられている状態のようだ。
「“このシールがはってあれば相互接続が可能”というロゴプログラムが年末ぐらいには動き出すはず」とは前述の関係者だが、メーカー間の壁を飛び越えることを保証した製品を投入するとなると、想像以上の困難がある様子。各社が本格的にホームネットワーク機能を前面に押し出した製品を投入してくるのは今年末以降の話となりそうだ。
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