iPodに先導されるように、デジタルオーディオプレーヤーの市場は年々大きくなってきている。ある調査結果によれば2008年には500万台の市場に成長すると指摘されているほか、ウォークマンでポータブルプレーヤーというジャンルを創出したソニーも「2005年はポータブルプレーヤーの主流がデジタルに移行する」と予測している。
ハードウェアとしてのプレーヤーはこのように順調な伸びを見せているが、ソフトウェア(サービス)にあたる音楽配信は2004年にエキサイトとMSN、今年に入ってヤフーと大手ポータルが参入しているものの、ハードウェアの普及に見合うほどの浸透を見せているかと言われれば疑問符が付く。
音楽ダウンロードサービス「Mora」を提供するレーベルゲート EMD企画部 プロモーションチーム プロデューサーの赤坂雄治氏に、音楽配信サービスの現状と今後のビジョンを尋ねた。
同社ではOpenMG/ATRAC3の楽曲配信を行う「Mora」と、Windows DRM/WMAの楽曲配信を行う「Music Drop」という2つのサービスを展開しており、配信楽曲数はそれぞれ15万/10万曲。Moraについては2005年3月に37万のダウンロード数を記録しており、年間でも前年度比で約3倍を超える数値を記録した。
「売り上げは伸びていますから、この流れが続くことを期待しますね。実は、音楽配信サービスはかっこいいハードウェアが出てきてナンボだと思っておりまして、ここ最近を見ても新しいハードウェアの登場にあわせてダウンロード件数が伸びています」
「いま期待しているのは、はやくアップルのiTunes Music Store(iTMS)が登場してくれないかな、ということです。(iTMSは)知名度もありますし、音楽配信という市場を引っ張るってくれると思います。それに、我々のサービスともバッティングしないのです。iTMSはiPodを持っているユーザーを対象にしていますが、Moraならばソニーやパナソニック、シャープなどが発売しているATRAC3対応製品、Music Dropならばアイリバーやクリエイティブメディアなどの製品のユーザーがその対象になります。iTMSが登場してiPodユーザーの間で曲を買うという行為が盛り上がれば、そのほかのプレーヤーを持つユーザーにも影響を与えるはずですから、そうした相乗効果を期待しますね」
iTMSが登場することによる音楽配信市場の活性化を期待すると言うが、赤坂氏はiTMSの潜在的なユーザー、すなわち日本のiPodユーザーをも取り込みたいという希望を述べる。
「正直、PC向けの音楽配信サービスはまだ大きな利益を上げるところまでには至っていません。iPod向けに楽曲を販売できるなら販売したいのです。大きな市場があることを分かっているのに販売しないのは、流通業者としてはあり得ませんから」
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