「まず10%という数字ですが、過去の事例をみても世帯普及率で10%を超えると、その後は爆発的に普及が加速しています。したがって、HDTVの世帯普及率が10%となる時期に市場を立ち上げ始めることに大きな意味があるのです。時期が1年早まったのは、それだけ北米におけるHDTVへの注目度が、従来の予想を超えて高くなっていることを示しています」。
「くわえて、現在は段階的に行われているデジタル放送への移行も、2008年には最終段階に入り、米国で販売されるすべてのテレビがデジタルのHDTV放送を受信可能になります。HD化への流れはもう止まることはありません。こうした市場の急激な動きに対応するため、われわれはこれ以上、待つことはできませんでした」。
――カタログタイトルが枯渇し、発売するDVDタイトルの数が今後は減っていくことも影響しているのではありませんか? 次世代光ディスクで高解像化が図られると、過去のタイトルをもう一度、HD品質で再販することも可能になるでしょう。
「それはありません。われわれは毎年24本の映画をリリースしています。カタログタイトルも、まだ枯渇というほど少なくなっているわけではありません。それよりも、DVD市場が飽和してきていることの方がずっと重要です。このままでは金額ベースの市場規模は縮小してしまいます」。
――北米の消費者は、他市場と比べても非常に多くのDVDを購入しています。しかし、ここに来てややバイレート(ひとりが年間に購入するDVDの枚数)は下がってきているのではないでしょうか?
「米国市場でのバイレートは依然として高い水準にあります。バイレートを今以上に高める事は難しくなっていますが、現状を維持することは不可能ではありません。それよりも1タイトルあたりの単価下落の方が影響としては大きいといえます」。
――話しを少し戻しますが、ワーナーはBDを支持する企業に対してドアを完全に閉めているのでしょうか? それとも門戸は開け、もしBD側が有利な条件を出せば、BDでもコンテンツを発売するのでしょうか?
「ノーコメント。今言えるのは、HD DVDを支持しているということだけです」。
――つまり、HD DVDをサポートしている限り、BDのソフトを出すことはないということですね?
「これもノーコメントです。現時点ではHD DVDでの発売しか計画していないとしかコメントできません」。
――仮に規格が統一されたとして、現在のHD DVDとは互換性のないフォーマットで決着した場合、ワーナーはその統一規格をサポートするでしょうか?
「現行のDVDは、さまざまな規格・フォーマットの中で、もっとも成功したもののひとつです。成功した一番の理由は、業界が統一規格を作り上げた点にあります。先に述べたように、統一規格のため、ずっとさまざまな可能性を追求してきたのですから、もしフォーマットが統一されるなら、支持することになるでしょう。もちろん、製造の容易さなどさまざまな要素がありますから、それらを含めた判断になります。しかし、統一はわれわれが望んできたことです」。
――両規格を同時にサポートするユニバーサルプレーヤーがあれば、そもそもこうした議論は起きないでしょう。ユニバーサルプレーヤーの可能性を(コスト面から)電機メーカーは否定していますが、ワーナーはどのようにお考えですか?
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