今年3月に発売した「FinePix F10」が売れ行き好調らしい。それまではコンパクトデジカメの弱点といわれた高感度撮影時のノイズを改善し、ISO400や800でも実用的な画質で撮れる画期的なデジカメである。加えて、約0.01秒というシャッタータイムラグの速さ、CIPA準拠で約500枚というバッテリー持久力の高さなど、カメラとしての基本性能がきちんと押さえられている。そのあたりが人気の理由だろう。
ただしFinePix F10のボディは、奥行きが27.3ミリで、使用時重量が200グラムと、ちょっと“スリム”とは言い難い。「だからこそいい」という意見はもちろんある。無理をしない適度な厚みと重量があるからこそ、使い勝手に優れる。しかし、逆に操作性は多少犠牲にしてでも、携帯性やデザイン性を重視したいと考える人もいるはずだ。
そんなデザイン志向のユーザーに向けた高感度デジカメの第2弾が「FinePix Z1」である。同社のデジカメとしては初めて屈曲光学式の3倍ズームを搭載し、奥行き18.6ミリ、使用時重量150グラムを実現した。これまでのシリーズとは一味違う、シャープでスマートなデザインに注目したい。なお今回使ったのは、製品版の前段階となる量産試作機である。画質や操作感などに変更が生じる場合があることをお断りしておく。
FinePix Z1のデザインを印象付けているのは、上から見るとUの字形のボディラインだ。これは、背面から両側面までが1枚のアルミ板で構成された「モノコック(単一の殻)」と呼ばれるフォルムであり、外板そのものがボディ全体を支えるフレームとしての働きを備えている。
モノコックは、飛行機やF1のボディなどにも利用される成形技術である。小型軽量ながら強度を保てることや、つなぎ目やビスの数を最小限に抑えられることがメリットだ。その半面、設計や量産の面では難しさもあるという。それをあえてデジカメのボディに採用したことで、他にはない個性的なデザインとなった。
そして、モノコック構造の前面にはフラットなリアカバーがあり、カバーの中央には従来の製品とはデザインが異なるFINEPIXのロゴが彫られている。そのロゴの凹凸に指を重ねてカバーを横にスライドすると、前面のLEDが白く光り、ピポパペという電子音が鳴って電源が入る。
起動まで時間は、16MBのxDピクチャーカード使用時で1秒以下、512MBの使用時でも約1.2秒と軽快だ。AFは、センター固定AFと複数の測距点が自動選択されるオートエリアAFの2タイプに切り替えられ、どちらもスムーズに作動する。最高画質の画像10枚を撮影するのにかかった時間は、約16秒とまずまずのレベルだ。
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