文化庁 文化審議会著作権分科会 契約・流通小委員会の第2回審議が行われた。同委員会では平成13年10月から施行されている著作権等管理事業法についての議論が行われていたが、今回の審議でまとめの報告書案が提出された。
著作権等管理事業法は、著作権及び著作隣接権を管理する事業に関して認可制ではなく登録制度を実施し、管理委託契約約款及び使用料規程の届出と公示を義務づけることによって、著作権及び著作隣接権の管理を委託する者を保護する法律。登録制にすることで事業者間の競争が生まれ、著作権管理事業の自由化、ひいては著作権物の利用を促進するものとして期待された。
ただし、これまで著作権管理事業者について定めていた仲介業務法とは大きく内容が異なるため、附則の7条で「施行後3年が経過した場合において必要ある場合には検討すること」と規定されており、同委員会において継続的に審議が行われていた。(参考記事)
同委員会は報告書において「新規に参入する事業者が現れたほか、同一分野においても複数の管理事業者が存在する状況が生まれ、結果として自由競争から管理手数料の値下げやサービスの向上などが見られた」と同法を評価する。
一方で、「新法に基づく事業者の実績や、事業者間での競争の成果がまだ十分に現れていない」「利用者から見てその事業者が信頼に足るか、判断基準がまだ明確になっていない」「著作権管理事業法に基づく利用秩序がまだ定着していない」などの問題点も指摘した。
また、これまでに行われたパブリックコメントからは「同一分野に管理事業者が複数存在しているので手続きが煩雑に感じる」「信頼度の低い新規参入事業が存在する」といった意見が寄せられたことを述べ、「規制の強化を求める意見が多く見られた」と報告した。
こうした評価点・問題点をふまえ、同委員会が提言したのは以下の内容。
1)直ちに著作権等管理事業法を改正し、対応すべき事項はない。
2)利用者側から現行法の厳格な運用が求められており、文化庁は管理事業者への指導監督を的確に行っていくべきである。
3)届出事項の変更届出期間の緩和や、管理委託契約約款/使用料規定のインターネット公示については現行法の枠内で対応できると考えられるため、文化庁は改善に配慮すべきである。
結論としては「現行のまま」という形に落ち着いたわけだが、報告書案では“直ちに”改正すべき事項はない、という表現が使われている。併記されている要検討項目だけでも、「非一任型の管理事業の規制」「管理事業者の役員の兼職」「管理事業者の守秘義務」「管理著作物の情報提供」「管理権限の開示義務およびインターネット公示」と多岐に渡っており、委員会では「管理業務の実態をよく調査するとともに、ある程度の期間を経た段階で改めて検討すべき」と報告書案をまとめている。
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