　導入することにより、リモコンからテープの再生（「＞」）を選択すればiPodの曲が再生され、「FF」で次曲へスキップ、「FR」で前曲へスキップといった操作が行える。本製品をどのRIモードで使用するかによってリモコンのキーアサインは多少変化するが、あたかもCDやMDのデッキを接続してるかのように操作できる。反応も機敏でストレスも感じない。

　リモコンの再生ボタンONによるiPodのオートパワーオン機能や、スリープタイマー機能も利用できるほか、アンプのセレクターがその他の機器にあっている状態でも、リモコンでiPodの再生を指示すると自動的にセレクターが変更されるオートセレクター機能にも対応している。

　今回の組み合わせではシャッフルON／OFF、リピート方法切換、プレイリスト切換もリモコンから操作できる。リモコンの「＜」（リバース再生）を押すとプレイリス操作モードに入り、「＞＞」「＜＜」でプレイリストの切換が行える。今回の組み合わせでは使用できなかったが、プレイリスト操作モードに入った後、「＞＞｜」「｜＜＜」を押せばアルバムの切換を行うこともできる。

このランプが点滅している間が「プレイリスト操作モード」

　「＜」（リバース再生）を押すと本体のLEDが5秒間点滅するので、その間に上記の操作を行えばプレイリスト／アルバムの操作が行えるのだが、iPodの画面表示がリモコン操作にシンクロしないので、状態が把握できず、プレイリストを切り替えようとして次曲へスキップしまうことが何度かあった（寡聞にして、iPodの画面表示を自在に切り替えられるDockコネクタ対応機器というものを聞いたことがないので、仕様上の限界かもしれないが……）。

　古いRI対応製品ならばどうなるのだろうかと、筆者の自宅にあるINTEC205のプリメインアンプ「A-905」（1997年発表モデル）とiPod Miniを接続してみたところ、電源のシンクロON／OFFや再生に関する基本操作は問題なかったが、プレイリストやアルバムの切換は行うことができず、第3世代iPodとA-905を接続した場合も同様だった。

　こうした基本的な再生以外の機能（シャッフルON／OFF、リピート方法切換、プレイリスト／アルバムの切換）については、マニュアルに「iPod Photo、iPod Mini、第4世代iPodでかつ一部の対応機種のみと組み合わせた場合に使用可能」と明記されている。多少古くともRI端子を持った製品と組み合わせれば、少なくとも純正ワイヤードリモコンと同等（もしくは＋α）の機能を、手持ちのAVコンポから利用できると考えればいいだろう。

AVコンポ側からiPodへのアプローチ

　この製品の基本的な考え方は、多くの曲を収録しているiPodというデバイスを、CDやMDのデッキと同様のひとつのコンポートネントとしてAVシステムに組み込む――というものだ。

　iPod（iTunes）の曲を家庭のAV製品で再生するという点だけに限れば、AirMacExpressを導入しても近い効果を得ることができる。しかし、本製品はあくまでもiPodの内部に入っている曲を再生するという点で大きく異なり、PCレスの環境を実現している。AirMacExpressがコンピュータからAV製品へのアプローチだとすれば本製品は反対、AV製品からコンピュータ（iPod）へのアプローチを試みている製品といえるだろう。

　使用している最中、「充電機能を備えているのだから、ついでにUSB端子を用意してくれればiTunesとのシンクロも可能なのに……」と考えてしまったが、あくまでもオーディオ製品のオプションとして割り切ったからこそ、ここまでシンプルな操作感覚を実現できたのかもしれない。

　製品ページなどを確認しても、現在のところ同社オーディオの対応状況が一覧化されていないなど（使用できない機種はFAQに記載されている）改善を求めたい点もあるが、導入するだけで自宅のオーディオをHDDオーディオにすることができる本製品は、iPodの楽しみ方を広げてくれる製品といえるだろう。