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「Posy」の松井龍哉氏、エアラインをデザイン

» 2005年05月17日 15時40分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 航空会社のスターフライヤーは5月17日、「Posy」「PINO」などのデザインを手がけたフラワー・ロボティクスの松井龍哉氏および、松井氏と協力関係にあるSGIとの提携を発表した。航空機の外内装デザインをはじめ、同社が手がける航空業務すべてにおいて、トータルなデザインに関する協力関係を進めていく。

photo デザイナーの松井龍哉氏(左)とスターフライヤー代表取締役社長の堀高明氏。手前は松井氏がデザインしたエアバスA320。松井氏は「エアラインのデザインに携われるのは、一生に1回あるかないかのチャンス。キャリアをかけて取り組みたい」と意気込みを語る

 スターフライヤーは、2006年3月16日に開港が予定されている新北九州空港(福岡県北九州市)を拠点に、新規就航を開始する航空会社。当面は新北九州-羽田間を1日12便運行する予定だが、将来的には上海、広州、ソウルへの近距離国際線も視野に入れている。

 同社代表取締役社長の堀高明氏は「もっと便利、もっと快適、もっと優しく、もっと挑戦」というスローガンを掲げ、「感動のある航空会社を目指す」と同社の理念を語る。その理念を実現するために招かれたのが、デザイナーの松井龍哉氏だ。

 松井氏はアートディレクションを担当し、プロジェクト全体のプロデュースは北九州イノベーションギャラリー(仮称)総合ディレクターの桂英史氏と北九州市企画政策課、プロジェクト管理は日本SGI、各種制作はフラワー・ロボティスクが担当する。松井氏の起用について桂氏は「視覚化、概念化、抽象化、組織化という4つの資質を備えた人物として松井氏を選んだ」と理由を説明する。

 松井氏が手がけるのは機体デザインだけではなく、会社案内やスターフライヤーのWebサイト構築などのブランディングから、チケットセンターやラウンジのデザイン、スタッフがどのような対応・接客を心がけるべきかのホスピタリティ、果ては社内で使われる文房具や名刺まで非常に幅広い。

photo 販売されるチョコレートや石けんなども含めたトータルデザインが施される

 松井氏が提示したコンセプトは「Mother Comet」(母なる彗星)。彗星のように、搭乗者が輝きながら目的地に向かっていくさまをモチーフに選んだという。実際のデザインについては「広大な宇宙」と「21世紀のモダンエアライン」というイメージから選ばれた「黒」を基調のコーポレートカラーとして展開していく。また、“Mother”という文字が示すよう安らぎを重視し、エコノミークラスのシートにも人間工学を考慮したレザーシートが採用されるほか、全席に液晶TVが用意される。

 「デザインするのは航空機の外装や内装だけではありません。スターフライヤーのビジョンを理解し、再構築し、表現することが“デザイン”。ハードのデザイン、ソフトのデザイン、ブランドのデザインはもちろん、ホスピタリティを含めたトータルデザインを手がけます」(松井氏)

 松井氏と言えば、「Posy」や「PINO」といったロボットデザイナーとしても有名。チケットセンターやラウンジには接客ロボットが配置されたりするのだろうか?

 「まずはブランドイメージを損なわないようにしたいのですが、スターフライヤーならではというプロダクツを独自に制作することもあるかもしれません。ただ、PINOをチケットセンターにおくという話は今のところ出ていません(笑)」

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