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マクロレンズを使いこなす――キヤノン「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」レビュー:デジ一眼「2本目のレンズ」(3/6 ページ)

» 2005年05月20日 01時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]

マクロレンズならではのシャープな描写

 実はマクロレンズではなくても、ある程度の接写はできる。特に、最近のズームレンズは最短撮影距離が短く、かなり高い撮影倍率を得られる。たとえば「EOS 20D」や「EOS Kiss Digital」とのキット発売も行われた、安価な標準ズーム「EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM」の最大撮影倍率は0.28倍だ。数値上は、60ミリマクロの等倍よりは低いものの、マクロ以外のレンズとしては非常に優秀な接写能力といえる。

 具体的いうと、「EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM」のズームのテレ端を使った場合、百円玉を横方向に3枚、縦方向に2枚の計6枚を敷き詰めた状態を画面いっぱいに写せる。つまり、名刺よりも一回り小さいサイズをとらえられる。これほどの接写倍率があれば、一般的な用途には十分かもしれない。

 しかし、マクロレンズのメリットは、単に接写倍率がより高いだけではない。接写時の画質に優れることがマクロレンズの大きな魅力だ。このことは「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」にも当てはまる。標準ズーム「EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM」は価格の割には良好な画質だと評判のレンズだが、さすがに「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」に比較すると、差は一目瞭然だ。

 なお、標準ズーム「EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM」は、デザインの一部をマイナーチェンジし、現在はII型となる「EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM」を発売している。下の作例では旧製品を使用したが、光学性能は現行製品まったく同じと考えていい。

photo 標準ズーム「EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM」のテレ端を使い、最短距離で撮影。最短の撮影距離は実測で約25センチ(公称値は28センチ)となり、その場合のワーキングディスタンスは約12.5センチ。絞りF8、シャッター速度1秒
photo 同じく標準ズーム「EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM」で撮影。上のカットよりもシャッター速度を高めることで、露出を少し下げた。絞りF8、シャッター速度0.6秒
photo マクロレンズ「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」を使い、上の画像と同じ画面サイズになる距離で撮影。撮影距離は約31センチ、ワーキングディスタンスは約19.5センチ。照明はなどの撮影条件は同じだが、上の2枚よりもシャープネスやコントラストは明らかに高く、くっきりとした描写だと分かるはず。絞りF8、シャッター速度1秒

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