東芝は5月20日、生活支援型ロボットのプロトタイプ2機種を発表した。
発表されたのは、話しかけられた方向と内容を理解して受け答えする“聞き分けロボット”「聞き分けapri君(ApriAlpha_v3)」と、登録した人を探してついてくる“お供ロボット”「アテンダ君(ApriAttenda)」。いずれも愛知万博にて6月9日から19日まで開催される「NEDOプロトタイプロボット展」に展示される。
「聞き分けapri君」は本体上部に設けられた6つのマイクで全方向からの音を取り込み、そのなかに人の声があれば、話しかけられた方向とその内容を認識する「聞き分け」技術を搭載している。つまり、どの方向から話しかけられても「あいさつしてきた人にはあいさつを返す」「質問には返答する」といった動作を行う。
事前の利用者登録は必要なく、認識した音のなかに“知っている単語”があった場合、対応した動作をとる。現時点では家電操作の機能などは実装しておらず、話しかけるとそちらを向いて問いかけを反復するだけ。「メールチェックして」と話しかければ、話しかけた人の方を向いて「メールチェックします」と返し、「テレビをつけて」と話しかければ、「テレビをつけます」と反応してくれる。
複数の人から同時に話しかけられても内容を理解できるほか、従来困難とされてきた“全方位からの聞き分け”を実現したことから、聞き分けapri君に搭載された「聞き分け」技術は家庭用ロボットの“耳”としての応用が期待できそうだ。
もうひとつの「アテンダ君」は着ている服の色や柄などを登録しておくと、視覚センサーでその人を探しだしたのち、一定の距離を保って追尾する「認識・追従」技術を搭載したロボット。
頭部に2台設置されたカメラの映像の中から「動きのある物」を「人」と認識し、その人が登録された服の色・絵柄に適合する場合、その人を特定人物としてとらえる画像処理アルゴリズムを搭載する。
しかし、現段階では服装で人を判別しているため、似た色合いや柄の服装をした人が複数いるとアテンダ君は混乱してしまう。
「例えばスーツを着た人を登録した場合、スーツを着た人がたくさんいる会社内などではうまく特定の人を認識できないかもしれません。ただ、FacePassのような顔認証の仕組みを組み合わせればより精度の高い認識が可能になるはず」(同社)
認識した人が移動すると、1メートル〜1.5メートルの間隔を保って追従する。移動時にはカメラで人との距離を計算しながらスピードを調整するほか、搭載している超音波センサーで障害物を避ける。また、ついて行くべき人を見失うと「どこですか?」と声をかけながら再度周囲を見渡し、目的の人を探す機能も備えている。
今回開発された「聞き分け」「認識・追従」の技術については、ロボットの各機能をモジュール化して標準インタフェースを通じて組み合わせることができる同社提唱のオープンアーキテクチャ「ORCA(Open Robot Controller Architecture)」が採用されている。
これによって、同社ではORCA仕様に沿って開発されたロボットへの機能搭載や他分野への展開が容易になるとしており、5年〜6年後を目標に、新開発の機能を含めた高機能生活支援ロボットを製品化する計画だ。
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