アジア全域における光ファイバの促進を図るNPO団体「FTTH Council Asia-Pacific(アジア太平洋FTTHカウンシル)」は5月31日、パシフィコ横浜にて「FTTH Council-Asia Pacific General Meeting」を開催した。
行われたセッションにて、「TEPCOひかり」を提供する東京電力の清水俊彦氏(情報通信事業部長)はFTTHのキラーアプリケーションのひとつとしてPLC(電力線搬送通信)を挙げ、同社 光ネットワーク・カンパニーの田代哲彦氏(ゼネラルマネージャー)は「電力自由化をにらんで準備を進めたい」と家庭用電力の自由化が検討開始される2007年4月以降を目標に、PLCを実用化したいという意向を示した。
PLC(Power Line Communication)とは、オフィスや家庭に引き込まれている100ボルト電線に乗っている信号を変調して、ネットワークラインとして利用する技術。数Mbps〜数百Mbpsという高速なデータ通信が可能になると言われているほか、既存の電力線をインフラに使用できることから、家電メーカーと電力会社が早期実用化を期待している。しかし、高周波を変調するために漏洩電磁波の発生が避けられないという問題もある。
技術としてはあまり新しいものではなく、政府のIT戦略本部が発表した「IT政策パッケージ−2005」にも、「実用上の問題の有無を2005年中に明らかにできるよう、関係者を交えた技術的な検討を進める」と記載され、実験が行われているほか、2005年1月には松下電器産業、三菱電機、ソニーの3社がPLCの相互接続仕様確立を目指すアライアンスを設立すると発表している。
「(PLCの)規格策定が始まれば実用化は促進されると思うが、漏洩電磁波を含めて課題は多い。電話線がわりのアクセスラインとして使うとすれば、実用化にはかなりの時間がかかるだろう。ただし、宅内ソリューションとして考えるならば、“向こう1年”というのは無理だとしても、意外に早期の実用化は可能かもしれない」(田代氏)
PLCを宅内ソリューション、いわば無線LANのかわりに据えることで早期の実用化を目指すが、ここまで積極的な姿勢を示す背景には、2005年4月に利用者が電力供給業者を選べる電力自由化の対象が拡大されたほか、2007年4月には家庭を含む全面自由化の是非を問う議論が始まるという事情がある。
「家庭用電力が完全に自由化されても、安全で経済的な“オール電化”や“エコ給湯”といった電力サービスに、TEPCOひかりやPLCといったネットワークサービスを組み合わせれば、高付加価値商品としてPRできる。自由化されても選ばれる電力会社でなければならない」
「PLCの実用化については、Bフレッツを提供しているNTTとの共同推進でもかまわないと思っている。ただ、“アクセスラインにTEPCOひかりを組み合わせると安くなる”などの施策はもちろん考えますが(笑)」(田代氏)
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