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PCを知り尽くした“PCバッグ”とは(4/5 ページ)

» 2005年06月06日 17時23分 公開
[小寺信良,ITmedia]

満員電車以上に過酷な評価基準

 VAIO Smart Protectionの開発は、実際に自分たちがPCを作っているからこそわかる弱点の解析が大きかった。具体的にどこが弱点なのかはPCメーカーとしては言いにくいんですが、と前置きしながら、中根氏はこんなことを話してくれた。

 「これをやるからにはPCのどこが弱いのか知らなくてはいけないということで、修理を行なうサポートセンターから色々情報を聞き、本体の設計者にも話しを聞いて回りました。そして特に液晶部が大型化している割には薄くなっていて、これが割れることが多いということがわかってきたんです。一般に弱点と思われているHDDは、今ではかなり強くなっていて、簡単には壊れなくなっている。じゃあ液晶部をまず保護するために、どういう素材が一番いいかということを考えていったんです」(中根氏)

 「実はこれらのバッグは、満員電車よりももっと厳しい評価基準でやってるんです。PCの表面は何キロまで耐えなければいけないというのが内部基準であるんですが、それと同じぐらいの加圧をクッション材にあてるとどのぐらいの衝撃率になるのか、数値をちゃんと取っていきます。そしてその審査をちゃんと通ったものが、VAIO Smart Protectionとなったわけです」(平林氏)

 実際に毎日使ってみてわかるバイオバッグと一般のPCバッグの大きな差は、ファスナーの開閉部にあると筆者は思っている。一般のバッグではすぐファスナーが裏地や表のカバーを噛んでしまうのだが、バイオバッグではこういうことがほとんどないのだ。

 「ファスナー部も我々で耐久試験を行ないます。本体ですと液晶の開け閉め耐久回数というのが品質管理で決まっているんですが、それをバッグに置き換えると、マジックテープの開閉とかファスナーの開閉に置き換わっちゃうわけです。逆にかばん屋さんから言わせると、厳しすぎると驚かれます」(平林氏)

 「ファスナーなんかはそのメーカーで機械を使って耐久試験を行なうんですけど、これはまっすぐな状態で試験をやるんです。ですがファスナーって製品にすると、コーナーで曲がりますよね。こういう部分は、作った製品で開閉試験しないとダメなんですよ。ですからみんな手で一生懸命開け閉めするわけです。バッグメーカーじゃないのに(笑)」(長氏)

 「これで直しがあると大変なんですよ。作り直してからまた手で開閉試験するので時間はかかるんですけど、お客様が使い始めてすぐ噛んじゃったというのではダメですし」(中根氏)

PCバッグの次なるステップ

 PCバッグとしての新しい取り組みも、既に始まっている。例えば社内で使うためのバッグだ。

 「以前からトートバッグは出していたんですけど、意外にうちの社内では部長クラスの方々がたくさんこれを持って歩いてるんですね。最初は『いやあオレはこんなの使えないよ』とおっしゃるんですけど、使ってみたらすごく便利で、こんなにいいものだとは知らなかったと社内の評判が高いです。PCと書類を肩にかけて持って行けるということで、重さをあまり感じないんですね」(平林氏)

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