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PCを知り尽くした“PCバッグ”とは(3/5 ページ)

» 2005年06月06日 17時23分 公開
[小寺信良,ITmedia]

PCを守る新しい機構

 Panasonic「Let's note」の2005年夏モデルでは、満員電車の加圧にも耐えられる耐100キロ級ボディがウリになっている。確かにその技術は素晴らしいし、毎日それに耐えている人間のほうがまったくご苦労様なのだが、Let's note夏モデルユーザー以外は液晶割れてもしょうがないよね、というのはあまりにも酷な話である。

 そういうのはPCバッグでなんとかならんのか、と思われることだろう。PC用バッグを名乗るからには、PCが入れやすいばかりではなく、しっかり保護してくれないと困るのである。

 今年発売されたバイオバッグ2種には、新しい衝撃吸収構造である「VAIO Smart Protection」が組み込まれている。従来のバイオバッグをはるかに上回る衝撃吸収性能を実現したという。今までのPCバッグには、なんとなくヤワヤワしたクッション材が入っているだけだったのだが、これとはどう違うのか是非知りたいところだ。ソニーイーエムシーエス VAIOペリフェラルビジネス部商品設計課の長正一(おさ まさかず)氏に、VAIO Smart Protectionの構造をお伺いした。

photo 長野テックでバイオバッグの設計を行なっている長 正一氏。バッグはビジネスバッグの最新モデル「VGP-MBB10」

 「これがVAIO Smart Protectionの中味なんですが、側面や底面などの周囲部分には、より反発係数の高い低反発ウレタンを採用しています。一方面積の広い部分には、やや反発係数の低い素材と、ベルポーレンという芯材を貼り合わせた二層構造になっています」(長氏)

photo VAIO Smart Protectionの内部。広い面積部は2つの素材の貼り合わせであることがわかる

――低反発ウレタンというと最近はやっている「低反発まくら」を連想するんですが、いわゆるああいう素材ですか?

 「そうです。こういうものは以前は完全に特殊素材でしたが、低反発まくらなどの製品がはやったこともあって、最近はオーダーすれば比較的容易にいろいろな種類のものが手に入るようになりました」(長氏)

――最近のPCバッグにも、やはり低反発素材をクッション材に使ったものもありますが。

 「実はこのベルポーレンという芯材がミソなんです。低反発素材って、バーンとものが当たったときには強いんですよ。でもじわじわと長く押されたときには素材が凹みきってしまいますので、そのままの圧力がかかってしまうわけです。ところが表面に芯材を貼ると、かかっている力を広く分散できるんですね。そのあと裏にある低反発素材全体で、圧力を吸収するという構造になっています。芯材のありなしで実験したのですが、かかる加重には驚くほどの差が出ました」(長氏)

 実はこの芯材には、思わぬ効果もある。新しいビジネスバッグは従来よりも薄くスタイリッシュなのに、PCを入れない状態でも中折れしないのである。そしてこの「薄い」というのも、VAIO Smart Protection採用バッグの特徴だ。PCペリフェラルの商品企画を担当する、ソニー IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー 企画部の中根麻衣子氏は、こう語る。

 「今回のVAIO Smart Protectionというのが、新素材の採用ですごく薄くできたんですね。その特徴を生かすためには、薄いバッグだと。いままでビジネスバッグというのは、ごっついものが多かったんです。ですが今回はそのあたりをガラリと変えて、普通に持っているカバンでPCが入れられる、というところを目指しました。普通の通勤カバンというと、だいたいこれぐらいなんですね。敢えてこのサイズでやりましょうと」(中根氏)

photo PCペリフェラルの商品企画担当の中根 麻衣子氏。バッグはVAIO Smart Protection採用のカジュアルバッグ「VGP-MBC10」

 「社内でも、いつでもいろんなものをごちゃごちゃ入れて持ち歩きたい人と、“これだけで会社に来てるの!”って人と色々いるわけですが、今回はいろいろ持ち歩きたい人の意見はいっさい聞かず(笑)、割り切ったんです。バッグっていうのは、PCと違って言いたいことが言えちゃうんですよね。ほんとに皆さん好みが違っていろいろな人がいろいろな事を言いに来るんで、その分モニターには苦労しませんが」(平林氏)

満員電車以上に過酷な評価基準

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