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軽快さが魅力の耳かけ型コードレス――ビクター「XA-AL55」レビュー(2/2 ページ)

» 2005年06月13日 17時29分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 本製品はヘッドフォン一体型という性質上、手元で操作を行うことができない。外観からもボタン類を極力減らし、操作インタフェースをシンプルにしようという意図は感じられるが、それでも液晶ディスプレイがないので、状態を的確に把握することは難しい。

 そのために用意されているのが音声ガイド機能だ。この機能はデフォルトでオンになっており、電源を入れると「電源オン」、早送りボタンを押すと「ネクスト」、早戻しボタンを押すと「バック」などと音声で今行った操作を教えてくれる。

photo 音量調節以外はすべて音声で操作を教えてくれる(オフにすることも可能)

 この恩恵を最も感じるのが各種の設定を行うときだ。右ハウジングの「MODE」を押すと「再生モード設定」「サウンドモード設定」「音声ガイド設定」「LED設定」「フォーマット」の各種設定が行えるが、そのすべてについて音声でガイダンスが行われる。

 MODEボタンを1回押すと「再生モード設定」とどの設定項目を選択しているかの音声が流れ、何も設定していないならば「現在通常再生です」と現在の状態を教えてくれる。ここで選択ボタンに相当する音量ボタンを押すと「全曲リピート」「ランダム」「リピート」と各項目がアナウンスされ、選びたい項目のところで指を離せば2秒ほどして「設定完了」とアナウンスされる。

 同じくMODEボタンを2回押すと各種エフェクトを適用する「サウンドモード設定」に入り、「クラシック」「ライブ」「ポップス」「ロック」という4つのプリセットイコライザのほか、サラウンド効果を与える「WOWモード1/2/3」と、低音を強調する「SRS TruBass」を選択できる。

 この音声ガイド機能のおかげで、液晶を搭載していないにもかかわらず快適な操作性を手にしている。ただ、実際に耳にかけた状態で操作してみたところ、再生/停止以外のボタンはかなり小さく、指で探るだけではどれがどのボタンだか分かりにくいときがあった。落ち着いて操作すれば間違うことはないが、とっさに操作するには難しく感じる。多少は慣れが必要だろう。

photo 再生/停止ボタンだけは離れた場所に設けられている上、ほかのボタンよりも大きいので操作しやすい

 口径30ミリのネオジウムドライバーや18ビットΣΔ(シグマデルタ)D/Aコンバーターを搭載したというだけあって、音質に関しては十分に満足できる。カジュアルなスタイルとも相まって、ポップやロックに適しているという印象だ。用意されている音響効果のWOWやSRS TruBassも十分な効きを見せる。ただ、これは本体の構造上仕方のないことかもしれないが、ボタンの設置されている場所と耳が近いせいか、ボタンを押す際の「カコッ」という音が気になった。※初出時、レジューム機能を搭載していないと記載いたしましたが、正しくは搭載しておりますので、ここにおわびして申し上げますとともに、本文を修正させて頂きました。


 ヘッドフォン一体型MP3プレーヤーという製品はRWCの「itan Egoiste」(レビュー)など、これまでにもいくつか存在した。しかし、本製品はアームレスタイプヘッドフォンとして定評のある「Be!」シリーズを手がける日本ビクターの製品ということもあり、質感やデザイン、音質についても十分であるほか、音声ガイドによって“耳かけ”という形状に起因する操作のしくにさを解消している。

 価格はオープンだが実売想定価格は1万8000円程度の見込みで、256Mバイトのメモリを搭載したデジタルオーディオプレーヤーとしては決して安価とは言えない。それに256Mバイト版しか用意されていないのを不満に感じる向きもあるだろう。しかし、この小型軽量さに加えて単四型乾電池1本で長時間の駆動が可能なほか、ほかにはあまり無い「オンリーワン」タイプなので、“とにかく軽快にミュージックプレーヤーを持ち歩きたい”というユーザーにとっては十分検討に値する製品だ。

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