松下電器産業は、テレビ向けインターネットサービス「Tナビ」を利用してケーブルテレビ事業者が地域ポータルを構築できるASPサービスを拡充する。CATV局の地域ポータル構築を支援するとともに、Tナビ自体の利用者拡大を狙う。
松下が提供する「Tナビ」は、デジタルテレビやCATVのセットトップボックス(STB)を対象としたネットワークサービスだ。ユーザーは、対応機器とインターネット接続環境があれば、17ジャンル/計141の専用コンテンツをリモコンとテレビ画面で利用できる。既に松下の薄型テレビ「VIERA」シリーズをはじめ、日本ビクター、三菱電機、日立製作所など10社の製品が対応済みで、累計出荷台数は200万台を数えるという。
ただし、現在のところ接続率は1割程度に過ぎない。「CATVを含め、全体の接続率を高めるのが課題だ」(松下電器産業、eネット事業本部Tナビサービスグループの大野誠一マネージャー)。
Tナビ自体は、対応機器とインターネット接続環境さえあれば全国どこからでも利用できるものだが、松下は昨年6月からSTBに限ってアクセスを可能にするCATV向けサービスを開始した。これにより、CATV局が展開する独自サービスのインフラとしても活用できるようになり、現在では24の事業者が地域ポータルを提供中もしくは構築中だ。
たとえば大阪府のケーブルウエストは、7月に自社の地域ポータルをリニューアルする予定。地元のチラシを掲載する「電子チラシ」やグルメ情報サービス「関西デパチカ」などを中心に、独特の地域情報サイトを構築する。電力系FTTHなど競合サービスも多い大阪で、独自コンテンツによる差別化を図るのが目的だ。
トップページには、地元の天気情報や星座占いを掲載し、「一日1回はTナビを利用してもらえるようにした」(ケーブルウエストの徳山瑞穂取締役)。また、ユニークなコンテンツとして、「池田給食センター」(池田市)との協力による「Lunch Pocket」がある。Lunch Pocketは、市内の小学校や幼稚園でその日に出る給食の献立を写真付きで紹介するというもの。さらに一週間ごとに献立の人気投票を行い、その結果を給食センターにフィードバックする。
また、大分ケーブルテレコムは、大分市の協力により、市報や休日・夜間当番医などの行政情報をTナビで配信中だ。東京都の江東区と中央区でCATVサービスを提供する東京ベイネットワークでも、地域情報や交通情報にくわえ、行政との連携による情報サービスを計画しているという。
もちろん、これらのサービスは通常のWebサイトでも提供できる。ただ、Tナビを使うポイントは、テレビとリモコンという使い慣れたユーザーインタフェースにより、「高齢者などの情報弱者でも、パソコンに依存せず、ホームページの情報にアクセスできるようになること」(東京ベイネットワークの佐藤龍子メディアグループ長)。
さらにCATV局としては、「テレビサービスだけのユーザーをインターネット接続サービスへ誘導する効果、あるいはアナログHTユーザーをデジタルサービスへ乗り換えさせる効果が期待できるだろう」(大野氏)。
今回発表したASPサービスは、「コミチャン情報配信サービス」「Photoメールサービス」「有料番組情報提供サービス」の3つ。松下電器では、既に提供している「有料番組情報提供サービス」などと合わせ、7月から提供を開始する予定だ。各サービスの概要は下記の通り。
サービス名 | 概要 | 提供時期 |
---|---|---|
コミチャン情報配信サービス | コミュニティチャンネルの情報をTナビ加入者向けに自動配信。加入者はガイド誌がなくてもオススメ番組をチェックできる | 7月 |
Photoメールサービス | インターネットサービスを利用しているユーザーを対象にしたもの。メールに添付された写真をテレビ画面で確認できる | 7月 |
STB簡単操作ガイド | リモコンやデジタルSTBの操作方法をビジュアル化して解説 | 7月 |
有料番組情報提供サービス | オプションチャンネル(有料チャンネル)の見所を紹介するサービス | 提供中 |
「Tナビ」サービスプロバイダーとの連携 | Tナビで提供中の地域情報や生活便利サービスを対象地域に特化して提供。水回りのトラブルが発生した際の“駆けつけ”サービス、地元デパートの地下食料品コーナー紹介など | 提供中 |
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