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シアター志向のしっとりした画質――松下「TH-26LX500」特集:夏ボで狙いたい液晶テレビ(2/3 ページ)

» 2005年06月17日 13時03分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 画質のチェックは、先にレビュー済みの日本ビクター「LT-26LC60」、東芝「26LH100」と同時期、同一環境で行っている。視聴したコンテンツもほぼ同じで、横並びの比較も行っている。

 まずはHD映像の視聴だが、映像を表示した瞬間に感じるのは、色乗りが過剰にリッチで、暗部の諧調表現が今ひとつであること。発色の割りに暗部のノイズ感は少ないのだが、正直ベタッと潰れてしまっている印象だ。人肌にも不自然な赤みが乗る印象があり、色合いも全体に不自然な感じも受ける。

 もっとも、これは工場出荷設定が画質「あざやか」になっていることも関係がありそうだ。店頭効果の関係もあるのだろうが、むしろ画質「スタンダード」の方が、輝度こそ抑え目であるものの、画質的には自然。その名称通り、これが画質は標準なのでは? と思える。色乗りは相変わらずリッチだが、「スタンダード」であれば十分許容範囲というか、輝度が低めなのが幸いしてしっとりとしたわりに存在感のある画質に感じるからだ。明るい部屋に適したシアターモードという感じだろうか。

 ただ、暗い部分の諧調表現に関しては、どの画質モードでも潰れ気味の印象は受ける。諧調が失われている訳ではないのだが、ほかの2製品と比較しても諧調表現に乏しい。念のため同席した知人にも3製品を比較してもらったが、同じような印象であった。たとえば、明るい屋外の映像で木陰などが暗すぎて、結果的に情報量が失われている感じを受けるのだ。そのぶん、輝度のわりにノイズっぽさはもっとも少なく、黒の締りが良く感じる。プラズマの黒の締りを液晶にも、という絵作りなのだろうが、ちょっと好き嫌いは分かれそうだ。

 残像感の少なさに関しては、製品の特徴としてうたっているだけに、さすがに秀逸。同時比較した2製品でもそれほど気になることはなかったが、横並びで比較すると本製品が1枚上手という印象である。そのとき視聴していたのは、SD映像をアップコーンバートしてHD映像として送出されていた地デジのスポーツ中継だったが、左右に高速に視点移動したような映像でも、もっとも芝目の潰れが目立たない。比較しなければ気にならないレベルかもしれないが、スポーツ中継を近い距離でよく見る、といった人には向いているだろう。

 地上波アナログ放送や、D2出力したDVD映像でも大きな破綻は感じないが、同時比較した2製品と同様、HD映像と比較すると少々がっかりした画質となる。「あざやか」の画質設定では見たくないな、という印象すら受けた。とくに地上波アナログ放送に関しては、たまたま視聴環境に置いてあった10年前の29インチブラウン管テレビのほうが自然に感じるのだ。できれば全部HD映像で見たい……と思ってしまったのは3製品に共通した印象だ。

シンプルでダイレクト感の強い、いかにもパナソニックらしい操作性

 操作の中心となるリモコンは、若干横幅がありながら、比較した3製品の中でももっとボタン数が少ない。チャンネル、チャンネルアップダウン、ボリュームといったボタンを大きめに確保しており、片手で持って、親指が届く範囲に「放送波の切り換え」まで配置している。製品の性格付けからするとアンマッチな印象もあるが、とりあえずは利用頻度の高い操作を優先している。いかにもパナソニック製品らしいリモコンだ。

photo DIGAなどにも通じる、利用頻度の高いボタンを大きめに配置したリモコン。絵作りとはアンマッチな気もするが、片手でひょいひょいっと操作するには便利だ
photo メニューボタンで呼び出されるウインドウ。非常に分かりやすいメニュー構成だ

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