　DVDメディアは、Blu-ray Discに比べて価格的にも手頃だ。デジタル放送のコピーワンス番組（現在はほとんどコピーワンス番組）を記録できるのはCPRM対応メディアに限られるが、昨年秋にはCPRM対応のDVD-Rも登場し、DVD-RAM、DVD-RW（VRモード）、DVD-R（VRモード）という3種類のメディアを使えるようになった。

　ただし、メーカーや製品の登場時期などにより、デジタル放送の録画に使用できるメディアがまちまちである点はチェックしておきたい。たとえば、昨年登場した日立製作所「DV-DH400T」やシャープの「DV-HRD300」などは、DVD-RへのVR記録には非対応。松下の“ハイビジョンDIGA”「DMR-EX100/300」は、DVD-RWへの書き込みが「ビデオモードのみ」だ。下表に各製品でデジタル放送番組のムーブ先として使用できるDVDメディアをまとめた。


機種名	メーカー	HDD容量	CPRM対応メディア（※1）	チューナー
DV-HRD300	シャープ	400Gバイト	DVD-RW	地上／デジタル3波
DV-HRD30	シャープ	250Gバイト	DVD-RW	地上／デジタル3波
DV-HRD3	シャープ	160Gバイト	DVD-RW	地上／デジタル3波
DV-DH400T	日立製作所	400Gバイト	DVD-RAM/-RW	地上/BS/デジタル3波
DV-DH250T	日立製作所	250Gバイト	DVD-RAM/-RW	地上/BS/デジタル3波
DV-DH161T	日立製作所	160Gバイト	DVD-RAM/-RW	地上/デジタル3波
RD-Z1	東芝	600Gバイト	DVD-R/-RW/RAM	地上/デジタル3波
RDZ-5	ソニー	250Gバイト	DVD-RW	地上/デジタル3波
DMR-EX300	松下電器産業	400Gバイト	DVD-R/RAM	地上/デジタル3波
DMR-EX100	松下電器産業	200Gバイト	DVD-R/RAM	地上/デジタル3波

※1：デジタル放送のムーブ／直接録画に使用できるメディアに限る

　DVDへのムーブが可能な製品を選ぶ際に見落としがちなのが、ダウンコンバートにかかる時間だ。基本的にはTS信号をダウンコンバート処理すると再生時間と同じ時間がかかるものだが、製品によってはダウンコンバート中にそのほかの操作を受け付けなくなるものもあり、家族と共用するような場合には注意がいる。

　ただし、中には日立「DV-DH400T/250T」のように、番組録画時にHDとSD画質の両方で録画しておき、ムーブ時の時間短縮を図った製品も存在する。これは「TSX」と呼ばれる録画モード。TS録画と同時にMPEG-2圧縮したVR録画を同時に行い、1つの録画ファイルとして扱う仕組みだ。既にMPEG-2のデータがあるのだから、DVD-RAMにムーブする際は最大5倍速の高速ダビングが行える。もちろん録画時に使うHDD容量は通常（TS録画）より大きくなるが、ユーザーの利便性は大きく向上する。

日立「DV-DH400T」

　デジタル／アナログ放送の同時録画が可能な機種なら、地上デジタルがサイマル放送であることを利用して、同じ番組をデジタル／アナログの両方で録画しておくという手もある。DVDには保存するときはアナログ放送の録画ファイルを高速ダビングすればいいわけだ。最近登場した製品では、東芝「RD-Z1」や松下「DMR-EX100/300」がデジタル／アナログの同時録画に対応。ソニー「RDZ-5」は残念ながら非対応だ。

松下「DMR-EX300」（上）と東芝「RD-Z1」

　HDD容量は、上は600Gバイトから下は160Gバイトまで幅広いが、録画番組をHDDに溜め込んでしまう人は、なるべく大容量の製品を選択するべきだろう。ハイビジョン放送の録画を前提に考えた場合、ビットストリームはBSデジタルで約24Mbps、地上デジタル放送で約19Mbpsとかなりの容量を消費してしまう。

　たとえば250GバイトHDDの場合、すべて地上デジタル放送（HD、TS記録）で録画すると約24時間、BSデジタル放送では21時間。既にHDD/DVDレコーダーを使用している人なら、この録画時間が自分にとって十分であるか、そうでないかが分かるはずだ。あるいは、番組によってSD画質の録画と使い分けたり、こまめにDVDへムーブしたりする必要が出るかもしれない。いずれにしても、ハイビジョン録画を中心に考えると、現在より1ランクも2ランクも上の大容量HDDがほしいところだ。